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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【B】
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未だ、ママ来ないの?」と、MARIA(マリア)が聞くと、女の子は、俯きながら頷いた(うつむきながら、うなづいた)。「お腹、空いたでしょう?」と聴くと、女の子は頷いた。MARIA(マリア)の目に、道を隔てて、ホットドックの屋台が見えた。彼女は、屋台で、ホットドックとジュースを買い「これ、食べて」と言い、女の子に渡した。「小母ちゃん、有難う」と言い、女の子は、美味しそうに食べ始めた。「何歳?名前は何て云うの?」と、MARIA(マリア)が聞くと、「3歳です、DREAM(ドリーム)です」と、女の子は答えた。「ママ、早く来ると良いね。小母ちゃん、お仕事が有るから、又来るね」と、言ってMARIA(マリア)は、店の中に戻って行った。二回目のステージが、終わった。MARIA(マリア)は再度、店の前に出た。外はスコールだった。女の子は、ずぶ濡れで立って居た。慌ててMARIA(マリア)は店から傘とタオルを持ち出し、女の子の体を拭き、傘を差出した。彼女は、店頭の脇に有ったパイプ椅子を開き「DREAM(ドリーム)ちゃん、ここに座って、もう少し待ってね。ママ、来るから。小母ちゃんも、後から来るから」と、言って店の中に戻った。三回目のラストステージは、DREAM(ドリーム)が気掛かりで、ミスの連続だった。ステージが終わり、急ぎ店頭に行くと、DREAM(ドリーム)は傘を広げ、パイプ椅子に座っていた。MARIA(マリア)の胸に、安堵感が走った。既に、時間は、深夜の0時を回っていた。「DREAM(ドリーム)ちゃん、何か食べようか?」と、MARIA(マリア)が言って、辺りを見回した。先程のホットドックの屋台が、未だ、灯りを付けていた。屋台でソフトクリームを買い、二人で食べた。「美味しい」と、DREAM(ドリーム)が言った。MARIA(マリア)にはDREAM(ドリーム)の表情が、とても可愛く見えた。DREAM(ドリーム)が言った。「小母ちゃんの名前は何?」「MARIA(マリア)と云うの」と、彼女が答えた。「小母ちゃんは、MARIA(マリア)様ですか?」と、DREAM(ドリーム)が言った。MARIA(マリア)は、言葉に詰まりながら「そう・・そう・・そうだね」と、言った。[MARIA(マリア)様は、3回、DREAM(ドリーム)に話し掛けるよ。その人がMARIA(マリア)様です。MARIA(マリア)様は、優しいひとです。ママの帰りが遅く成ったら、MARIA(マリア)様にキティちゃんのポシェットを見せて、MARIA(マリア)様の言う事を聞いてね]と、ママが言っていた」と、DREAM(ドリーム)が言い、MARIA(マリア)に、首に掛かっているポシェットを、渡した。MARIA(マリア)は、ポシェットを開けた。中には、200ペソ(\450)の紙幣が一枚と、手紙が入っていた。手紙には[私には、難病の母が居ます。
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