渡り鳥が忘れた、古巣【B】
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言い「私の家には、経験を積んだ、立派な保育士が、3人も居るの。博史の両親と、私の母よ。だから、保育園など、必要無いの。私も、会社の事務に、専念出来るし、私達の、子供が出来ても、保育園に預ける考えは、全く無いの。人生経験が豊富な年長者の知恵は、凄いよ。昨日も、博史の御父さんが、倉庫の、アルミパイプの廃管を利用して、竹馬作りを、子供達に教えていたよ。今、私は博史の両親と、私の母と、同居しているけど、楽しいよ」と、言った。泰弘は、家族の絆を大切にしない、行政の保育園造りの施策に、疑問を感じた。
直弘が退職してから、一ヶ月程、過ぎた日にJATCから、退職金が振込まれた。退職金は、勤続年数と役職に準じた金額だった。彼は退職金で、農機具を取り揃えた。休耕田の大半は、地主が高齢で、労働力不足の為、放置され、背の高さを超す程の、雑草が覆い茂っていた。休耕田の草刈りを、業者に頼めば、相当な費用が掛かると、地主達は認識していた。地主達は挙って、雑草を除去する条件で、農地は無料で貸してくれた。休耕田は面積が広いので、一人では、雑草の草刈りだけで、相当な日数を要すると、直弘は思った。地震の時、安藤家で給水や炊き出しを受けた被災者達が、日曜日にボタンティアで、古民家に集まり始めた。彼等は、自宅の庭で使っていた草刈り機や、レンタルで借りた草刈り機を持ち、直弘が借りた休耕田に向かった。一斉に草刈りが始まった。広大な休耕田は、人海作戦に依り、一日で草刈りが終了した。次の日曜日には、成金議員に反旗を掲げた農民達が、トラクターに乗り、直弘が借りた休耕田を、一日で耕した。農民達の中に、繰り上げで市会議員に成った、青年議員・山田 魁の姿が在った。「地震の時は、色々、お世話になりました」と言って、彼はトラクターの傍ら、大声で叫びながら、手を振っていた。彼が農民達に、地震当時の、安藤家の給水や炊き出しの事を話し、農民達に、休耕田のトラクター出動の協力を仰いだ、立役者だった。直弘は、人間同士の助け合い太さに、又しても驚嘆した。休耕田に黄昏が迫り、ボランティア達の人影が、シルエットに変わっていた。夕方、MARIA(マリア)は、ナイト・クラブに出勤した。店の前に、3歳位の貧祖な身なりの女の子が、一人で立っていた。首からは、ピンクのキティのポシェットが、掛かっていた。「如何したの?」と、MARIA(マリア)は女の子に聞いた。「ママを待って居るの」と、女の子は小声で答えた。「ママ、早く来ると良いね」と、言い残しMARIA(マリア)はナイト・クラブに入った。この店のシンガーで或るMARIA(マリア)は、最初のステージを終えた。彼女は、店の前の女の子が、気掛かりだった。ステージ衣装の侭、MARIA(マリア)は店の前に出た。辺りは闇に包まれ、ナイト・クラブのネオンだけが輝いていた。店頭に女の子は、未だ立って居た。「
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