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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【B】
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史と由実子の間には、未だ、子供が居なかった。少し離れた庭のテーブルを囲んで、直子と父母達が、談笑していた。ヨチヨチ歩きの一佳が、鶏を追いかけ、テーブルの方へ歩き始めた。仲間の一人が「直弘、これから、何の仕事をする?」と聞いたら、「此処で、御袋と一緒に農業をする。近くに休耕田も一杯有るし、借りようと思っている」と、直弘が答えた。「俺達も、全面協力するよ」と、仲間達が口々に言った。直弘は、遠く離れている父親の代りに、自分が、家族三人と一緒に、古民家に住むべきだと、感じていた。「由実子、以前より綺麗になった。化粧も、ほぼ、スッピンだ」と、直弘が言うと「博史が、以前から、直弘の、お母さんのファンだって。だから、私、質素のお母さんの、真似をしているの。この白いブラウスも、透けて下着が見えるから、彼を刺激するでしょう。真似をする様に成ったら、博史は毎日、私を求めてくるの。昼間も、あるよ。求めて来たら、必ず応じて上げるの。私、博史が大好きだから。一緒の職場だから、便利ね」と、由実子が嬉しそうに言った。博史が赤ら顔で、恥かしそうに、頭を掻いていた。直弘はビックリした。昔の暗く沈んで、口数も少なかった由実子とは、真逆で、自分の幸せを話したくて、仕方がない様子だった。直弘が「余り仲が、良過ぎると、(こうのとり)が焼餅を妬いて、子供を運んで出来ないよ。俺の様に、仲が悪いと、子供が出来る」と言うと、「絶対に無理、私、博史を嫌いに成る事なんて、絶対に出来ない」と言い、由実子は博史に抱き付き、口にキスをした。博史は、又しても赤面した。「今、私達の職場に、毎日、幼児貧困の児童が4・5人朝晩来るの。私、その子供達に御飯を上げるのが、楽しいの。これも、直弘のお母さんの真似なの。修学旅行の費用を、くれた時[恵まれない子供に、返して下さい]と、言われた。子供は可愛いね」と、由実子が笑顔で言った。直子は、由実子の修学旅行の事や、在りし日の、自分と泰弘の姿を想いだし、微笑ましく二人を眺めていた。次の日曜日、今度は、建築資材をトラックに積んで、仲間達が父母と一緒に、古民家に現れた。仲間達の中に、子供が5人、含まれていた。仲間の一人が「今日は、農機具の倉庫を、造りに来た。泰弘の再出発の為の、俺達からの贈り物だ」と、言った。トラックから建築資材を降ろし、全員で、倉庫造りが始まった。安藤家の人間も、子供達も、仲間達の父母も、倉庫造りに加わった。倉庫は、午後の3時頃に、2棟完成した。農機具を置くには、充分の大きさだった。居間のレコードを流しながら、庭で、細やかな倉庫完成パーティーを開いた。泰弘は[仲間は大切だな]と、思った。泰弘は由実子に「5人の子供は、何処の子供?」と、訊いた。「私の処に毎日来る、子供達よ。今日は、学校が休みで、子供達が[自分達も、手伝いたい]と云うから。連れて来たの。可愛いでしょう」と、
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