渡り鳥が忘れた、古巣【B】
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マリア)の働いている、フィリピンパブに行き、MARIA(マリア)を指名した。MARIA(マリア)が「先日は、弁当屋に来てくれて、有難う御座います」と言って、直弘の横に座った。彼女は、白色のミニドレスを着て、胸元の割れ目がクッキリ見えた。直弘は、ゾクとした。二人は、互いの身の上話しを始めた。直弘が「フィリピンに、旦那さんが居るの?」と聞くと、MARIA(マリア)は、首を横に振った。直弘が「DREAM(ドリーム)は、誰の子供?」と、聞いた。「DREAM(ドリーム)は捨て子です。私が拾いました。私は未だ、未婚です」と、MARIA(マリア)は言い、自分も孤児で或る事や、Miss.MILAI(未来)に拾われた事など、全ての経歴を話した。MARIA(マリア)は「直弘さんの奥さんは?」と、聞いた。「離婚した。バツイチだ」と、直弘が言い、彼も自分の、身の上話しをした。MARIA(マリア)が、[未来へ]を日本語で唄った。「この唄、フィリピンのママが、一番好きな唄よ」と、彼女は言い、再び、Sleepy Lagoonも唄った。今日、直弘はトランペットを持参した。MARIA(マリア)の唄の後に、彼はトランペットを奏でた。唄と演奏を終えた二人に、客席やホステスから、拍手が湧いた。直弘はMARIA(マリア)に「如何して、この曲が好きに成ったの?」と、聞いた。彼女は「マニラのナイト・クラブで唄っている時、何時もこの曲を、リクエストする、日本人の御客さんが居たの。だから好きに成ったの。その御客さん、私が唄う度に、涙を流して、寂しそうだった。直弘さんも、この前、店に来た時、涙を流していた。訳が、有るの?Endless LoveもI’m Sorryも、その御客さんが、リクエストする曲よ」と、答えた。直弘は咄嗟に「その御客さんの名前、知っている?」と、MARIA(マリア)に聞いた。「知っています。御客さんは、日本の貿易会社、JATCの専務で、東南アジア統括責任者の、安藤泰弘さんです。マニラのナイト・クラブのオーナーと同郷で、この町の出身の方です」と、彼女は答えた。直弘は、天井を仰ぎ、暫し、目を閉じた。MARIA(マリア)が心配気に「私、未だ、直弘さんの姓を、知りません。姓は、何と云うのですか?」と、聞いた。「安藤」と、直弘が答えた。MARIA(マリア)が、目を丸くして「お父さんの名前は?」と、聞いた。「安藤泰弘、そう、その御客は、俺の父親の安藤泰弘だ」と、直弘が言った。MARIA(マリア)は唖然として、更に、目が大きくなった。MARIA(マリア)は直弘に、泰弘の、寂しそうな近況を伝えた。直弘は、心とは裏腹の、企業戦士・泰弘の帰国出来ない実情を、垣間見た。二人は一緒に、Endless LoveとI’m Sorryを唄った。二人の距離が、急速に縮まった。「私達の姓を、未だ、直弘さんに、教えて無いよね
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