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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【B】
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弾み(はずみ)、二人は意気投合した。MARIA(マリア)は「自分の好きな唄が有るの。唄って、良いですか?」と、聞いた。直弘は「良いよ」と、答えた。彼女はSleepy Lagoonを唄った。直弘は、ビックリしたと同時に、目に、一筋の涙が流れた。それは、両親、泰弘と直子が一番、愛した曲だった。「如何したの?」と、MARIA(マリア)が聞くと「何でも無い」と、直弘は素手で、涙を拭いながら言った。「私、まだ好きな唄が有るの。一緒に唄いましょう」と、言ってMARIA(マリア)はマイクを差出した。二人で、Endless Loveをデユッエットで唄った。暫くして、店のスタッフが席に来て「お時間です。延長しますか?」と、訊いたので、直弘は延長した。だが、指名したはずのMARIA(マリア)に、他の客から指名が入った。彼女は、その度に席を、離れた。直弘は、店のシステムに、疑問を感じた。暫くして、二回目の延長の有無を訊かれたが、直弘は延長しなかった。店のスタッフが料金を提示した。農業収入のみの直弘には高額だった。帰り際、MARIA(マリア)が「御免なさい。でも、楽しかった。有難う御座います」と、言った。直弘は「じゃあ!」と、言って片手を上げ、店を後にした。翌日の夕方、直弘は畑の仕事を早目に切り上げ、息子の一佳を連れて、MARIA(マリア)の働いて居る弁当屋に行った。彼は、スッピンのMARIA(マリア)を見て、驚いた。スッピンの彼女は、夜の化粧をしている顔よりも、数段に綺麗だった。丁度、夜間の交代要員の、アルバイトの女子学生が、出勤していた。直弘は英語で、MARIA(マリア)と話した。MARIA(マリア)は、一佳を見て「昨夜は、有難う御座います。可愛い。息子さんですか?」と、聞いた。「そうだよ」と、直弘が答えた。「私にも、娘がいます。DREAM(ドリーム)、出ておいで」と言い、MARIA(マリア)は、奥の休憩室に居るDREAM(ドリーム)を、呼んだ。「娘がいるの?独身かと思った」と直弘は、少し驚いて言った。奥から、DREAM(ドリーム)が出て来た。「可愛いな。何歳?」と、直弘が英語で聞いた。DREAM(ドリーム)が、指で、3歳と示した。「一佳と同じ歳だ」と、直弘が言った。英語の会話を見ていた女子学生が、直弘を「英語、カッコ良い!イケメン!」と、絶賛していた。DREAM(ドリーム)が、店の外に出て、一佳と遊び始めた。古民家には、子供の遊び相手が居ないので、一佳は、直ぐに、DREAM(ドリーム)と、打ち解けた。直弘は、安藤家全員の惣菜を買った。そして彼は、自らの黄色の小型ワンボックスカーに、3人を乗せ、2人をMARIA(マリア)のアパートまで送ってから、古民家に戻った。その晩、安藤家の夕食は、MARIA(マリア)が働く弁当屋で買った、惣菜だった。
二三日して直弘は、再び、MARIA(
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