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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【B】
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、年金の支給額は、僅かだった。直子は相変わらず、野良仕事に励んでいた。そんな三人を、一美は軽蔑していた。結婚を期に、直弘と一美は、古民家に、全く来なく成った。二人の家庭は、一美のカカア殿下の、独壇場だった。結婚して一年が過ぎた頃、二人に男子の赤子が誕生した。赤子の名前は、一美の父親、相川一夫の考えで、一美の両親の一文字ずつを取り、一佳(かずよし)と、名付け押し通した。安藤家の意向は、一字も反映されなかった。一美は「古い人間と、若い人間は、育児方法の考えが違う。母乳で育てると、自分の体形が崩れる」と言い、赤子の一佳を、高級有料保育所に預け、自分は、仕事を続けた。結果、赤子の保育所の送迎は、直弘の役割になった。一美の育児放棄である。それにも増して、一美は家事も放棄し、全て直弘が熟した。まるで直弘は、一美の召使いの様だった。贅沢三昧(ぜいたくざんまい)の一美と、節約志向の直弘とは、水と油の仮面夫婦で、次第に二人の溝は、深く成っていった。一美は「[何時も、二言目には、御袋は、御袋だったら]と、直弘は言う。直弘はマザコン」と、大声で、直弘を罵った(ののしった)。「全ての動物が、子孫存続の為に、一生懸命、子供に餌を運び、子育てをする。動物の本能だ。育児放棄する人間は、動物よりも劣る。マザコンの何処が悪い。親が自分を育てて呉れたから、現在の自分が存在する。親を敬い感謝する気持ちが有ってこそ、人間だ。血は水よりも濃い。それが、親子の絆だ。何時までも、親を宛にして、贅沢三昧をする女こそ、親離れが出来なく、自立出来ない人間の典型だ。一美のブランド志向は、豚に真珠だ!」と、直弘は爆発して、言い返した。二人の関係が、ギクシャクなるに連れて、イケメン志向の一美は。ホストクラブにも通う様に成り、費用は、会社の接待交際費にした。社長の一人娘で或る彼女を、咎める(とがめる)社員は、誰も居なかった。会社にホストから、電話が来る様になった。それは、二人の致命的な結論になった。一美はホストに走り、直弘は赤子の一佳を連れて、マンションを出た。直弘が辿り着いたのは、忘れかけた古民家だった。直子とキクとヨネの三人が「おかえり」と言って、直弘を出迎えた。三人が、順に、赤子の一佳を抱いた。一佳は、三人よりも、玄関廊下の猫達に、興味が有る様だった。数日後、一美から、印鑑を押した離婚届が、送られて来た。直弘はそれに捺印してから、役所に提出し、会社・JATCにも辞表届を郵送した。翌日、吹奏楽同好会の昔仲間が、父母と一緒に現れた。「直弘、お帰り、直弘は、東京の、ど真ん中よりも、此処が一番似合っているよ」と言い、次々と赤子の一佳を抱いた。一佳が泣きだした。由実子が抱くと、一佳は泣き止んだ。「一佳君、可愛い」と、由実子が言った。「やっぱり子供は正直だ。汗臭い野郎よりも、女の由実子の方が、良いのだ」と、直弘が言った。博
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