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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【A】
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良いの?」と、聞いた。泰弘は頷いた。直子は、泰弘の手を、自らの胸に、押し当て、目を閉じた。互いの唇が、触れ合いながら、二人は布団に倒れ込んだ。二人は、愛の契りを結んだ。泰弘は直子の顔を見た。一筋の涙が流れていた。「御免」と、泰弘は謝った。直子は首を横に振り「違うの。ナオは嬉しいの」と、言った。そして「ヤッチャン、大好き」と、言って、直子はハニカミながら、部屋を出て行った。
その日から泰弘は、直子を求め、直子も快く彼を受け入れた。泰弘には、直子は癒され、優しく、恥じらいを持った、最高の恋人だった。
泰弘はアルバイトに、意欲的に取り組んだ。彼には目的が有った。婚約指輪だった。その年のクリスマスに、安藤家は、例年の如く、細やかなクリスマスパーティーを行った。クリスマスケーキを食べ、踊り、ワインを飲んだ。皆が寝静まった頃、直子の部屋を、ノックする音が聞こえた。直子がドアを開けると、そこには泰弘が立っていた。「どうしたの?」と、直子が言った。「入っても良いかな?」泰弘が、少し強張った(こわばった)顔で言った。「良いよ」と、直子が言った。子猫のミックスが、布団に居た。部屋に入り、泰弘は直子と向き合って、畳に座った。「これ」と、泰弘はポケットから指輪を取り出し、言った。「遅くなって御免ね」と、泰弘が言い、直子の指に填めた。直子は指輪を見詰め「本当、本当に、ナオで良いの?」と、聞くと、泰弘は首を縦に振って頷いた。「ヤッチャン、有難う、嬉しい」直子は、涙声で言った。「寒いな」と、泰弘が言うと、「一緒に寝よう」と、直子が言い、二人は布団に入った。子猫のミックスも、布団に入って来た。「ナオを抱きたい」と、泰弘が言うと、直子は、ハニカミながら、小声で「良いよ、でも、ちょっと恥ずかしい」と、言った。泰弘には、直子の言葉や仕草は刺激的で、直子の体は温かかった。
早朝、泰弘は目覚めると、既に、直子はエプロン姿に着替え、左手の薬指のピンクのダイヤを、嬉しそうに眺めていた。泰弘の目覚めに気付くと「お早う。昨夜(ゆうべ)は有難う。高かったでしょう。綺麗ね」と、直子が言うと、「まあね。給料の通常の数月分。アルバイトで頑張ったから。宝石店の話で[ピンクは、恋愛運をアップさせるという意味]と、教えて貰った。栄吉さんやキクさん・母さんに分かると、未だ不味い(まずい)から、指輪ケースに入れて仕舞って置いて」と、泰弘が言った。「分かった。私の一番高価な宝物だから、大事に仕舞って置く」と、言って、直子は、タンスの上部の引出しに、仕舞い込んだ。そして、直子は台所に行き、泰弘は自分の部屋に戻った。
泰弘は、栄吉から言われた、大人の責任を考えていた。泰弘は「新年の元旦0時に、婚姻届を出す」と、直子に告げた。直子は泰弘に抱き付いて喜んだ。
除夜の鐘が、鳴っていた。二人は、市役所の、守衛室の前の長椅子に、座
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