渡り鳥が忘れた、古巣【A】
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安藤家にも、ボランティアの人々が、井戸水の給水に来た。ボランティアの人々の職業は、多岐にわたっていた。安藤家全員で握飯を作り、被災者に配った。少年達も、彼らの親達も、安藤家で炊き出しに協力した。成金議員のアパートは、大半が半壊したが、安藤家の古民家は、堅固でビクトモしなかった。成金議員のアパートと古民家は、近隣だったので、アパートの住民が多数、水を求め訪れた。被災者の中に、成金議員の独身寮に住む、市の職員がいた。彼は「自分は、財政課に勤務していて、部署が違うので、救済活動には参加出来ない。自分も被災者だ」と、言っていた。安藤家は自宅を開放し、風呂とトイレを提供した。市民からは、市の災害支援の緩慢さに、不満の声が続出した。この地震災害を期に、市民からの、都市ガスと上水道の解約が、相次ぎ、二つのインフラは、不要化しつつの状態であった。反面、博史の処には、プロパンガスの設置の依頼や、共同井戸の増設が集中し、彼の家業は、急に忙しく成った。その頃、寝たきりの由実子の祖母が、肺炎を併発し、他界した。由実子も母親も、家業の多忙で、祖母の容態に、気付くのが遅れた。二人は、祖母の枕元で、後悔し泣き崩れ、博史も、自分の責任を痛感していた。三人は、枕飾りの香炉に、線香を手向け(たむけ)、合掌した。祖母は、安らかな顔だった。
成金議員のアパートは、地震保険には加入していなかったので、彼は一期に、多大な修繕費を背負った。市議会選挙前の祝儀袋の配りも、明るみに出た。公共工事の入札操作も、露呈した。成金議員は、警察から取調を受け、逮捕に至った。成金議員は
市議会から罷免され、次点の青年・山田 魁が、繰り上げ当選した。
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