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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【A】
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に立寄り、衣服と文具を数点購入した。自宅に着いたが、直弘は、未だ、下校しておらず、猫達だけが出迎えた。直子は早速、購入した衣服に着替えた。暫くして直弘が「ただいま」と言って、学校から戻って来た。直子は、玄関で「どう、似合う?」と言って、一回転して見せた。「何に、それ」と直弘は、面食らった様に言った。「このミニスカート、可愛い?」と、直子は言った。「若すぎるよ」と言って、直弘は苦笑したが、嬉しかった。「ヤッチャン、留守だから直弘、母さんとデートしてくれる?」と、直子が聞くと「良いよ」と、直弘が答えた。直子が「こっちに、来て」と、直弘を居間に手招いた。テーブルには、真新しいノートや文具が、置いて有った。中に、地球儀や世界地図も有った。「凄い!」と言って、直弘は、目を丸くしていた。直子は地球儀で、マニラの位置を直弘に教えた。その日、安藤家は、久しぶりの、和やかな雰囲気に包まれた。
二学期の初頭、直子に危害を加えた少年達が,直弘と一緒に、安藤家に訪れた。直弘と少年達は、既に、気心の知れた雰囲気だった。それを悟った直子は,少年達を快く受け入れた。彼女は、嬉しかった。直子は、腕の傷跡を見ながら[禍転じて、福になる]と、思った。町場の少年達は、古民家の大きさと畑の広さに、驚嘆していた。彼らは居間で、CDの70年代前のポップスや、クラシックを聴き、フィリピンでの、直弘の父親の泰弘の写真も、見せて貰った。未知の時代の70年代前の曲に、少年達は胸が熱くなった。畑で直子が、野良仕事をしていた。直弘と少年達は、野良仕事を手伝った。始めての経験に少年達は「面白い」と、続けざまに言っていた。少年の頭に鳩が停まった。直子の姿は、以前の麦藁帽にモンペと地下足袋とは一変して、野球帽に薄手のブラウスと、ジーパンとスニーカーだった。白いブラウスは、下着が透けて見え、思春期の少年達には、刺激的だった。次第に直子は、少年達の憧れに成っていた。直子が少年達に、畑で取れた西瓜を、振舞った。少年達は、西瓜にガブリ付いた。帰りしなに「これ、虫食いや、鳥が突いた跡が有る野菜だけれど、お母さんに持って行って」と言って、直子と直弘は、少年達に渡しした。「小母さん、有難う」と口々に言い、少年達は帰って行った。それ以後、少年達の安藤家への訪問頻度が増し、必ず居間で、70年代前の曲を聴きいっていた。少年達も保護者達も、生き物を大切にする直子のライフスタイルに、共鳴する様に成っていた。しかし、中学生に成ると、少年達の古民家への訪問頻度が、減っていったが、代りに、少年達の保護者が、頻繁に訪れる様になり、野良仕事を手伝った。直子が心配して、直弘に尋ねても「部活が、忙しくなったから」と答えるのみで、詳細は言わなかった。野良仕事に来た保護者に聞いても、少年達からの返事は、直弘と返事と同様である事を、知った。
二年生の秋の事だ
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