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第二話
第二話 双子のお姉さん
華奈子には姉がいる。双子のお姉さんで美奈子という。華奈子が茶色の髪なのに対して美奈子のそれは黒だ。華奈子の髪はお父さんの、美奈子の髪はお母さんのものだ。けれど顔は同じだ。お母さんによく似ていると言われる。目が大きくぱっちりとしている。そして可愛いとよく言われる。
けれど性格はかなり違っている。華奈子は活動的でやんちゃだが美奈子は何処か落ち着いていてしっかりしている。これは美奈子がお姉さんだからだろうか。
華奈子が得意なのは運動、けれど美奈子は音楽が得意だ。特に歌と踊りでは誰にも負けない。
「ねえ美奈子」
華奈子が自分の部屋で姉に声をかける。二人は同じ部屋にいて並んだ机に座っている。ベッドは二段で華奈子が上、美奈子が下になっている。趣味も全然違う。
華奈子はこざっぱりしたものを、美奈子は華やかなものが好きだ。したがって美奈子の服も何処か派手である。今も白いドレスのような服を着ている。
「何かしら」
美奈子はそれを受けて妹に顔を向けてきた。
「昨日何処へ行ってたの?夕方いなかったけれど」
「ちょっとね」
美奈子はくすりと笑ってそう答えた。
「遊びに行ってたのよ」
「遊びに?」
「ええ」
美奈子はまだ笑っていた。
「最近面白いこと見つけて。華奈子もどう?」
「ううん」
華奈子は姉の誘いに眉を顰めさせて考え込んだ。
「遠慮しとく」
「あら」
「美奈子の遊びって歌とか踊りでしょ。あたし歌下手だし」
「けれど踊りは得意じゃない」
「身体動かすのはいいのよ。けれどそれだけじゃないでしょ」
「ええ、まあ」
「だからね。遠慮しとく。あたし歌とか楽器とか苦手だから」
「残念ね。けれどいいわ」
美奈子はそれを聞いて一旦は諦めた。
「そのうち華奈子も一緒に遊ぶことになるから」
「それどういう意味?」
「あ、何でもないの」
美奈子はそう言って誤魔化した。
「何でもないからね」
「何か引っ掛かるなあ。まあいいか」
さっぱりした性格の華奈子は引っ掛かるものを感じながらもそれを追求しようとはしなかった。
「とりあえずは今日の宿題なんだけど」
「あら、何処かしら」
二人は宿題について話をはじめた。もっとも華奈子が美奈子に聞くだけであったが。勉強は美奈子の方が得意なのである。そんな二人であった。
第二話 完
2005・5・27
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