27部分:第二十六話
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第二十六話
第二十六話 遊園地で
赤音も紫の魔女との戦いの後修業に入っていた。彼女は何故か遊園地にいた。
「何でこんなところにいるのさ」
「おかしくない」
彼女の使い魔であるウサギのジップとハムスターのハリーが彼女を見上げて訳がわからないといった声をあげる。見れば彼女も訳がわかっていない。
「何でだろうね」
「ちょっと待ってよ赤音ちゃん」
それを聞いたジップがたまりかねて言う。
「赤音ちゃんもわかってないの?」
「うん」
「うんじゃないよ」
ハリーはもう呆れていた。
「そんなので修業になると思ってるの?」
「もう、御主人はこれだから」
「だってお姉ちゃんがここがいいって言ったんだもの」
赤音はキョトンとしたままそう答えた。
「お姉ちゃんが?」
「うん」
彼女の姉は高校生である。ドジな妹と違いしっかり者の美人として知られている。いささか惚れっぽいのがタマに傷でいつも連れている彼氏が違う。
「赤音、こっちよ」
遠くから声が聞こえる。見れば黒いロングヘアにTシャツにジーンズ、そしてシューズといった身軽な服装の長身の女の子がいた。彼女が赤音の姉である葵だ。年は離れているがれっきとした姉妹である。
「あ、お姉ちゃん」
赤音は葵が呼び掛けた方に顔を向けた。
「そっちで修業するのね」
「そうよ」
そして葵はそれに答えた。
「いこ、ジップ、ハリー」
そして二匹の使い魔を連れてそちらに向かう。彼等は主人の足下をとことこと歩きながら溜息をついていた。
「なあジップ」
ハリーが相方に声をかける。
「何だい?」
「御主人まともに修業できると思う?」
「ここ何処だと思ってる?」
ジップはそれに対して溜息と共に答えた。
「遊園地だよ。修業なんてできる筈ないじゃない」
「やっぱりそう思うか?」
「当然でしょ。遊ぶ場所でどうやって修業なんてするのさ」
「そうだよなあ。じゃあ姉さんはどうしてこんなところに御主人を連れて来たのかな」
「自分が遊びたいからじゃない?」
ジップは素っ気なく答えた。
「まさか」
「あれ見て言える?」
ジップはそう言いながら目の前を右の前足で指し示した。すると葵の横に格好いい男の子がいた。
「あれ、何かわかるよね」
「・・・・・・うん」
ハリーは力なく答えた。
「彼氏だね。それもおニューの」
「わかるだろう。どうせデートついでに呼んだんだよ」
「姉さんらしいというか何というか」
「まあ期待しないで付き合おうよ」
「うん」
二人は溜息をついたまま赤音について行った。だが彼等の主人はそんなことは知った由もなくうきうきとして姉のところに向かうのであった。
第二十六話 完
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