第23話『正々堂々』
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うだった?」
「ずこーっ!」
何事も無かったかのような口調で話しかけてきた暁君。
それでも、体はベッドの上だった。
「もう起きたの!?」
「あぁ心配かけたみたいだな、悪い。先生からは『ただの疲労だ』って言われたから、たぶん大丈夫だろ」
「もしかして、途中で魔術使った?」
「う…」
やっぱ俺の予想通りだった。
暁君の反応を見る限り、あの逆光は暁君の仕業だったようだ。
元々体力のない暁君が全速力で走って、その途中で魔術を使って魔力を消費したら、そりゃぶっ倒れるぐらい疲れるわな。
「はは、バレたみたいだな。あんだけ“正々堂々”言っといて…な」
「違うよ暁君」
後ろ向きな発言を始める暁君に、俺は言葉を掛ける。
「暁君は自分だけが有利にならないようにしたでしょ? それだけで十分じゃないか」
「三浦…」
暁君が俺を見つめ、しばし考える様子を見せた。
そして開かれた口からは・・・
「つまりお前も俺と同じことしたんだろ」
「ぶっ!」
睨み付けるように暁君は俺に言った。
でも、ちょっと待って暁君。今そういうのを言う場面じゃないでしょ!? てか何でわかったの!?
いやいや確かに真似したよ! したけどそんな睨まなくていいじゃん!
アレなの?! 天才って自分の考えを人と共有したがらない的な!?
「まぁ冗談だ。結果はどうだったんだ?」
「冗談きついよ…」
暁君はそっぽを向き直し、そう言った。
冗談で良かった…。
「俺が1位を取って、しかも今のところ赤団も1位だ。好調の出だしだよ」
「そうか」
暁君は素っ気ないが安堵したようだった。
そしてもう一度俺を向いて言った。
「次の競技には間に合う。だからもう少し休ませてくれねぇか?」
「もちろん」
俺は笑顔でそう言い、保健室を出た。
*
「大地、今どんな状況だ?」
俺は待機テントに戻り、大地に聞いた。
「あぁ晴登。今三年生の『背渡り』って競技なんだけどよ、見ろよ俺らの赤団。上で走ってる団長めっちゃ速いんだよ」
俺は納得し、実際の様子を見ようと前を向いた。
すると驚きの光景があった。
「おらおらおらぁぁ!!」
「へ?」
何か…副部長のキャラが変わってた。
背中の上であそこまで全力で走って良いのかってほど、副部長は勢いよく走っていた。
ちなみに背渡りという競技は、名前の通り、列を成している人々の背中の上を走ってゴールを目指すというものだ。だが、ゴールまでの距離は長く、1クラス分の人数だとどうしても長さが足りない。だから馬跳び
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