第23話『正々堂々』
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」
汗を垂れ流し、ゴールへと向かう暁君。いつの間にか3人を抜き、トップに立っていた。
「「「いけー!!」」」
1組…いや、赤団全員の応援が重なった。
その声に背中を押されたのか、暁君は流れるようにゴールした。
俺たちだけが知っている暁君の運動能力。
それを乗り越えた彼を見て、驚くしかなかった。
『1位は赤団です』
「「っしゃぁー!!」」
もはやお祭り騒ぎと言えるほどの喜びが、1組に生まれた。
他から見れば「喜び過ぎではないか?」と思われるだろうが、そんなのお構いなしに俺らは喜ぶ。
だが暁君が俺らの所に戻ってくることはなく、彼はゴールしてから数歩歩いた所で倒れていた。
「暁君!」
その容態にいち早く気付いた俺は、すぐさま彼に駆け寄る。
彼は異常なほどの汗を垂れ流し、苦しそうにしている。
その後の俺の問いかけにも反応せず、ただ荒い呼吸を続けるだけだった。
あまりの非常事態に、騒がしかった人たちはピタリと静まる。誰もが担架で運ばれていく彼を見ていた。
今日は暑いから、それで熱中症になったのかもしれない。俺はそう考えることにした。
ひどい病気だとか、そんなのではないはずだ。
きっと・・・大丈夫・・・。
『競技を再開します』
暁君を運び終えたのか、アナウンスはそう言った。
仕方ない。心配だが、暁君のことは一旦頭から離そう。彼はただの熱中症、休めば治る。
クヨクヨ考えるより、彼が勝ち取った1位を大事にしなければならない。
でも・・・男子の最終走者ってのは緊張するな…。
*
でもその時はすぐに訪れた。
『次は、男子最後の組です』
それを聞いて、俺の心臓は拍数を上げていく。
やべぇよ、遂に来ちまったよ。
今までの男子だけの成績であれば、今のところは赤団が1位。つまり、それを俺は守り抜かねばならない。
だが今、俺の中である決意が揺らいでいた。
俺が考えていた秘策のことだ。
最初は使う気満々だった。しかし、先程の暁君の話を聞いて考え直したのだ。
“魔術を使うこと”は正々堂々と戦っていることになるのか、と。
部長の言うことは確かに一理ある。でも卑怯ではないかという考え方もまた1つだ。
『位置について』
考えのまとまらぬまま、スタートラインに立った俺。
振り向かずとも1組の盛大な応援が俺にきているというのが分かった。
『よーい』
人生の内でここまで緊張した徒競走はあっただろうか。
暁君の意思を背負って走るという責任感を感じられた。
構えをとり、最終決断を迫られる俺。
だが、スタート直前
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