暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第23話『正々堂々』
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地はもうゴールテープを切っていた。


『1位は赤団です』


そうアナウンスが流れた。
よし、二連続の1位だ!これは良い出だし!
次は誰だ?!


「じゃあな三浦」


そう儚げに声を掛けてきたのは暁君だった。
見ると、顔を青ざめさせて今にも帰りたいオーラを出す暁君が居た。


「何でそんなに悲しそうなのさ。さっき自分で何とかするって言ってたじゃん?」

「言ってねぇよ。つかそうじゃなくてだな、さっき隣のレーンの奴から『正々堂々頑張ろうな!』って言われちまったんだよ。これってもうオチはアレしかないよな?」


暁君の言っていることはつまり、「予想外のハプニングが起きた」ということみたいだ。
そりゃ、魔術を使うのは卑怯なのではないかとほんの少しだけ思っているが隠している俺らにとって、『正々堂々』というのは非常に危険な言葉だ。
場合によっては作戦を実行できなくなる。

しかしそれは暁君の良心次第なのだ。


「やるのは暁君なんだから、どうするかは自分で決めないと」


自分でも少々無責任なことを言ったと思う。
ただ、これは事実なのだ。暁君がどうしたいか、が重要なのだ。要するに「自分のことは自分で何とかしろ」だ。


「ったく、わかったよ…」


暁君もその意図を汲み取れたらしく、諦めたようにスタート位置へ向かった。
そしてそこに屈み、クラウチング・スタートの姿勢ををとる。
そして今まで通り「用意」の一声が掛けられ、スタートラインにいる4人は腰を浮かせた。


『よーい・・・ドン!』


その瞬間、一斉に走り出した4人の中で差が──





・・・つくことはなかった。


何と暁君が懸命に前の人に喰らいつくような勢いで走っているのだ。魔術を使っている様子はない。
最下位ではあるが、決して諦めずに接戦を続けていた。
決して周りが遅いという訳ではなさそうだ。とすると、これは本当に暁君の実力なのだろう。

俺は感動した。
“やればできる”ということを、彼はその身をもって教えてくれたのだ。


残り20m。未だに差はほとんどない。
もしかすると暁君が勝てるのではないか?!
俺はそんな期待を胸に抱いた。


しかし、どうしたことだろうか。

走っている人たちが急に腕で目を覆い始めた。
別に風が強いだとか、砂煙が立っているとか、そういうことは一切ない。それなのに、彼らは何から目を守っているのだろうか。


「まさか、逆光?」


これは体感だが、太陽の光が眩しくなった気がする。もうそんな時間だっただろうか。

目が眩み、足がふらつき始める走者。

ただその中で1名だけが一直線に走り続けた。


「暁君!
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