第23話『正々堂々』
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して敵を遅らせる方法を取るという訳か。
それでも、1位を狙う方がずっと良いと思うのだが…。
「まぁ好きなようにすれば良いよ…」
結局俺は返す言葉が見つからず、会話を諦める。
暁君はなぜか満足そうな表情を浮かべながら、定位置に戻っていった。
「よし、やっか!」
俺は気持ちを引き締め、入場の合図と共にグラウンドへ一歩を踏み出した。
*
『よーい、ドン!』
ダッ!!
第一走者らが走り始めた。
皆が皆、真剣な表情で走っている。
負けるものかと気迫が伝わってきた。
『1位は赤団です』
「「よっし!」」
俺と大地は顔を見合わせ喜ぶ。
いつの間にか俺は競技に対して真剣になっていたのだ。
やっぱり自分の団が勝つのを見ると嬉しくなる。
「にしても速いな柊君。よくあの格好のまま走り切れるね」
「本人は隠すことに必死なだけだと思うけどな」
俺と大地は、赤団の第一走者である柊君を見ながら言った。
彼は帽子を顔が隠れるほど深々と被って耳を隠し、ズボンで何とか尻尾を隠している。
本人は人前に出ることは拒否し続けていたが、俺らの必死な説得により、何とかこれらの条件で参加を認めてくれた。
顔が隠れているため、女子が気づいてキャーキャー言うことはないが、もし顔が見えて、なおかつあの足の速さを知られたならば、きっと女子たちは黙っていないだろう。
「次は俺だな。行ってくるぜ、晴登」
そう言って大地は立ち上がった。第二走でもう大地の出番のようだ。
意気揚々といったその様子は、勝つのを予言しているようにも見えた。無論、学年でもトップクラスの足の速さを持つ大地に勝てる・・・いや張り合える人ですら、指で数えれる位しか居ないんだけど。
『位置について』
スタートの係員が言った。
大地を含めた各団の4名はスタート位置につく。
見た感じ、大地より速い人はいないようだった。
『よーい…』
係員はピストルを自身の真上に掲げる。
その動作と声に合わせ、四人は腰を浮かせクラウチング・スタートの姿勢をとる。
『ドン!』
「よーい」と言われてから不規則に放たれるその合図は、4人のスタートダッシュを誘発する。
だがその中でも一際目立つ者がいた。
「良いぞ、大地!」
大地はスタート直後から他の3人と圧倒的な差をつけた。
距離はたったの100m。彼のスピードであればすぐにたどり着くのではなかろうか。
全くブレないフォームと足の回転。もはや機械ではないかというほど洗練されたその走りは、俺だけでなく様々な人の目を釘付けにした。
速い。そう思った矢先に、大
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