第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#22
戦慄の暗殺者[ 〜Rebirth Chronicle〜
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達に、出逢うことが出来たのだから。
ジョセフ。スージー。エリザベス。ホリィ。
こんなにあたたかい人達に、私という存在は囲まれていたのだから。
その事を、今は何よりも大切に想えるから。
どうして、今まで気づかなかったのだろう?
でも、それを自分に気づかせてくれたのは、他の誰でもない、
同じ血統の末裔である “アイツ” だ。
ただ、それだけの、当たり前の事実。
それが何より、シャナには嬉しかった。
本当に本当に、シャナは嬉しかった。
そして共に見た空を見上げて、何よりも澄んだ声で、
しかし強い声で、決意を天空に誓う。
「私、ついて行くよッ! どんな暗い、たとえ 「世界」 の闇の中で在ったとしてもッ!」
脳裡に甦る、別れる直前に一度だけ見せてくれた、彼の微笑。
その存在が、心に巣くった 『幽血』 の恐怖など、全て跡形もなく吹き飛ばす。
(怖く、ない……ッ! きっと……おまえと一緒なら……ッ!)
だから、二人で行こう。
どこまでも、どこまでも。
遠くまで。
“この世界の遙か彼方までッッ!!”
そう心の中で歓喜を叫んだシャナの周りに、ゆっくりと世界が戻ってくる。
絶え間のない破壊の残響と消滅の砕動、
そんな、いつもと何ら変わる事のない、
殺伐として、淋しくて、何よりも冷たい戦場の空気。
でも今のシャナには、その破滅の戦風すらも清々しく感じられた。
吸い込む空気は、今までにないほど爽やかに胸の中を満たした。
やがて、少女の心中に決着が付いた事を悟った王が一言。
「もう。良いのか?」
「ウン!」
大きくシャナは、胸元のアラストールに向かって頷いた。
「……では行くか。彼奴の許に」
「ウンッ! アラストール! 早くアイツに逢いに行こうッ!」
一際大きくそう叫び、シャナは過去との決着を付けた瓦礫の墓標に背を向けた。
アイツに逢ったら、まず何を話そう?
言いたいことは、山ほどある。
聞きたい事も、沢山ある。
でもその数が多過ぎて、何から話して良いか解らない。
それにきっと、いつものように素直になれなくて、
想っている事とは逆の事を言ってしまうかもしれない。
でも、それで良い。
それが良い。
何気のない日常。
紅世とも封絶とも隔絶されていない、
緩やかな変化のみが繰り返される、平穏な世界。
それが、一番大切なものだと、今は想えるから。
それを護れた事を、今は何よりも誇りに想えるから。
だから、何を話すかは考えないで行こう。
アイツの顔を見たら、その時一番言いたい事を言おう。
多分、いつものアノ台詞になってしまうとは想うが。
そして、その後。
そうだ、二人でアノお店に行こう
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