第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#22
戦慄の暗殺者[ 〜Rebirth Chronicle〜
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くれた、翳りのない強さと美しさと共に。
それを答えだと受け取ったシャナは、もう一度瞳を閉じて想いを反芻する。
“間違って、ない ”
彼女が、そう言ってくれた気がするから。
“あなたが 「正しい」 と信じた事に、天下無敵の幸運を ”
彼女がそう勇気づけてくれた気がするから。
だから、シャナは。
「ありがとう……ミナ……」
今はただそれだけを、もう傍にいない彼女に送った。
湧き上がる万感の想いを一つに束ねてただ一言。
それだけを。
(むぅ…… “万条の仕手” ……か……)
口唇から漏れたその名に、胸元のアラストールが小さく声を漏らした。
その上でシャナは再び瞳を閉じて、己の想いを綴る。
綴り、続ける。
もっと楽に、生きれば良い。
おまえは “フレイムヘイズ” じゃないんだから。
普通と少し変わった能力を持つだけの、「人間」 なんだから。
そうすれば、エメラルドの光に胸を引き裂かれて血に塗れ、
無惨な姿で地に伏する事もない。
心も体もボロボロなのに、自ら傷を引き裂いて血を噴きながら、
限界を超えて戦う必要もない。
助ける筈の存在を操られて利用され、激しい存在の痛みを代償に
永遠に忘れられてしまう事もない。
そして。
そし、て……
数多の紅世の王すらも下僕にする、この世界史上最大最強の存在と
戦わなければならない 『宿命』 を負う事もない。
そう。
嫌だと言って逃げれば良い。
関係ないと言って投げ出せば良い。
後は私達フレイムヘイズに任せれば良い。
そんな重過ぎる運命を、おまえに強制する権利なんて、誰にもないんだから。
でも。
それでも、おまえは。
……
戦う、の?
その余りにも苛酷過ぎる己の 『運命』 を、
哀しむ事もなく、嘆く事もなく。
ただ 『覚悟』 だけをその裡に秘めて、
全てを受け入れ、全てに納得して。
戦い、続けるの?
おまえの精神に宿った、或いは受け継がれてきた、
沢山の人達の 「血統」 と 「絆」 と共に。
自分が正しいと信じる、『正義』 の為に。
渇いた風が一迅、傍らを通り過ぎ、爆炎で灼き裂かれた黒衣の裾を揺らす。
その少女の脳裡に甦る、ジョセフの屋敷の応接室で見せてもらった、
古い背表紙のアルバム。
中に納められた、モノクロームの写真。
多くの人々の姿。
その全ての人達が皆、アイツと同じ瞳の輝きを持っていた。
そして、微笑っていた。
その誇り高き血統によって導かれた、因果の中で。
「優しいんだね……おまえの…… 「歴史」 は……」
追憶と共に口唇
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