第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#22
戦慄の暗殺者[ 〜Rebirth Chronicle〜
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違う 「真実」 が、今の自分にはあるから。
今度は “一人じゃない” から。
“アイツが傍にいるから”
いて、くれるから。
だから今度は、絶対負けない。
アイツと私なら。
二人一緒なら。
どんな巨大な存在にも絶対負けるわけがない。
きっと。
“何でも出来るッッ!!”
精魂の叫びと共に、心の中で吹き荒れる灼熱の烈風。
特別な根拠は、何もない。
しかし、いつの間にか何よりも強い確信が、少女の裡に存在していた。
アイツが自分にくれた、『勇気』 と共に。
宵闇に輝く明けの明星よりも、強い光で自分を照らしてくれていた。
『――――――――――――――――――――ァァァァァァァッッッッッ!!!!!』
「ッッ!!」
遠くで聞こえる、スタープラチナの咆吼。
それはきっと、アイツの精神の咆吼
魂の誓約、 『護るべき者を護る』 という、誰に命令されたわけでもなく、
「使命」 を課せられたのでもなく、自らの「意志」で、己の 『正義』 を貫き続ける者。
その事を誇らしく想う反面、何故か心の淵で湧いた、
切なさにも似た感情が双眸を滲ませる。
「バカ……大バカ……」
微かにその瞳を潤ませて、シャナはそう呟いた。
誰も、誉めてなんかくれないのに。
誰も、感謝なんかしてくれないのに。
それどころか、自らの行為を認識すらしてもらえないのに。
それでも、おまえは、戦い続けるの?
例え、全身傷だらけになったとしても?
例え、腕や足を引き千切られたとしても?
それでも……?
ずっと……?
(何か……ズルイな……)
少しだけ嫉妬の混じった口調で、少女はまた呟く。
だって、あまりにも正し過ぎて、格好良過ぎて、非の打ち所がないから、
自分の立つ瀬がなくなってしまう。
自分が、アイツに 『してあげられる事』 が、何もなくなってしまう。
“アイツ” とは、いつでも、 「対等」 の立場で在りたいのに。
(!)
何故か脳裡に、一人の女性の 「姿」 が想い浮かんだ。
無口で、無表情で、不器用で。
でも、他の誰よりも自分の身を案じ、愛してくれた女性
崩壊した天道宮での、別れの時に垣間見せた、その時の表情。
シャナは、心象の中のその女性に、静謐な口調で問いかける。
(貴女もあの時……今の私と同じ気持ちだったの……?
ねぇ……? ヴィルヘルミナ……)
心の中で語りかけたその女性は、
白いヘッドドレスで彩られた、ただただ美しい想い出の中で、
優しく自分に微笑むだけ。
最後に見せた、身と心を引き裂くような痛みを押し殺してでも、
微笑みかけて
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