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魔女に乾杯!
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第二十三話

                 第二十三話  おやつの後で
 夏雄の焼いたクッキーを食べた後でまだ魔法の勉強に戻った。イーとリャンを相手に勉強を続ける。
「やっ」
 シャボンを出す。それで全身を包みこむ。
「これならどうかしら」
「ううん」
 二匹の使い魔が考え込みながらそれに答える。
「ちょっとねえ」
「それじゃあ駄目だと思うよ」
「何で?」
「シャボン玉だよね」
「ええ」
 春奈はそれに答えた。
「当たっても痛くないよね。身体を守ったりするのにはいいけれど」
「身体を守るのにも限度があるんじゃないかな、そのシャボンじゃ」
「そうなの」
 それを聞いて少し落ち込んでしまった。
「じゃあシャボンは駄目かな」
「いや、シャボン自体が駄目なんじゃなくてね」
 イーがそれに対して言う。
「そのままじゃ駄目なんだろ。シャボン玉って只の泡じゃない」
「うん」
「それじゃあ何にもならないよ。何か工夫しないと」
「工夫っていってもどうしたら」
「方法は幾らでもあるよ」
 リャンがそう答えた。
「あるの?」
「うん。蟹の泡とかあるじゃない」
「蟹の」
「あれみたいにさ。溶けたりしたらいいと思うよ。そうしたら攻撃にも役に立つし」
「そうかあ、それね」
「そうだよ。まあ試しにやってみたら。実際にそれでシャボンが強くなったらそれでいいじゃない」
「わかったわ。やってみる」
「やってみてよ、見ているから」
「ええ」
 こうして春奈はシャボン玉に工夫をしてみた。そして暫くしてシャボン玉で石を溶かすことができるようになった。シャボンに魔力を入れてみたのである。ものを溶かす魔力である。
「やったね」
「うん」
 春奈は二人に対して満足そうに頷く。
「これであの紫の魔女にももっとまともに渡り合えるかしら」
「結構違ってくると思うよ」
 イーが答える。
「だから今までよりは安心していいと思うよ」
「うん」
「あ、春奈」
 ここでまた兄の声がした。
「何?お兄ちゃん」
「夕食の支度ができたぞ。今日は御前の好きなホワイトシチューだぞ」
「ホワイトシチュー!?」
 それを聞いた春奈の目の色が変わった。星が瞬いているようであった。
「そうだ。早く来い。冷えるぞ」
「うん、待って」
「紫の魔女には勝てても」
「お兄ちゃんとホワイトシチューには勝てないみたいだね」
 魔法でも勝つことはできない相手がいるということであった。


第二十三話   完


              2005・7・4



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