六十三話:“正義の味方”
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るような雄叫びを上げての攻防は終わることを知らない。
「負ける…かァアアアアッ!!」
「朽ち果て…ろォオオオオッ!!」
しかし永遠に拮抗した状態が続くわけもない。徐々に片方が押していく。押しているのはスカリエッティ。そして負けているのは切嗣。焦燥感が切嗣の胸に占める。だが、それでも負けるわけにはいかない。
「おォオオオオッ!!」
先程まで正面で斬りつけていた切嗣であったが今度はスカリエッティの周りを舞うように斬りつけ始める。
「何をしようが―――無駄、無駄、無駄ァアアアッ!!」
しかしながら、決定的な一撃を入れることができない。片手とナイフだけでは完全に敗北させる力がでない。流れるはずのない汗が切嗣の額を伝う。このままでは勝てない。大切なものを守ることができない。こんな時に自身の最高の獲物である―――コンテンダーがあれば。
「おとん!」
背後から声が響いてくる。誰の声かなど考えるまでもない。何かが投げられたことが分かる。それが武器なのかどうかも分からない。だが、彼は振り返ることもなくナイフを捨てそれを受け取った。最愛の娘からの贈り物がろくなものであるはずがないと確信して。
「まさか―――コンテンダーだと!?」
壊れたはずのそれの姿に目を見開くスカリエッティ。しかし、彼が破壊したのはデバイスでありはやてから渡されたものは質量兵器だ。魔法を知る何年も前から使い続けてきた切嗣の罪の証。
「これで……終わりだ!」
引き金を引きスカリエッティの心臓に弾丸を放つ。衛宮切嗣の人生はいつだって手遅れだった。助けたい人は助けられない。自分の願いに気付いた時には愛した人とは一緒にいられない。いつまでも薔薇が咲いていると思って枯らしてきた。だが、今回だけは―――手遅れになどさせはしない
「―――時のある間に薔薇を摘め!!」
スカリエッティの心臓に弾丸が風穴を空ける。目を見開きスカリエッティは自身の胸を抑える。自身の固有結界内にいる状態であればこの程度の傷であれば即時に巻き戻せるはずだ。だというのに―――
「なぜ……巻き戻せないィイッ!?」
―――その胸にはぽっかりと穴が開いたままであった。
「当然だろう。お前の運命は―――切って、嗣がれたんだから」
切嗣の言葉にスカリエッティは全てを理解する。皮肉なことだ。自身の生み出した殺人兵器によってその命を絶つなど、まるでギロチンを生み出しギロチンで殺された人間のようだ。
「起源弾…!」
「不可逆の変化を与えられた能力は元に戻ることも、先に進むこともできない。そして、その心臓も癒す術はない」
スカリエッティの心象風景が
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