第十話 親友と往く道
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役はやってくる、出来の悪い身内を持つ貴族にとっては気が気じゃない状況である。
特にツィンマーマン男爵のような爵位の低い貴族にとっては重大事だ。三階級も下げられたら真鍮の拍車の騎士、従騎士を除けば貴族として最低の身分になってしまう。降格と特権の剥奪はとてつもない恐怖だろう。
だがその動揺は俺たちにとっては出世の足掛かりだ。
「時間はかかるかもしれないけれど、まずはオイゲン公子のデータを当たってみよう」
「馬鹿息子は親父の俺がぶっとばすから他人は口出すなって頭下げりゃ、カリカリきてる連中も待つ気になるだろうな」
「日付を昨日に巻き戻して、ツィンマーマン男爵が校長先生に頭を下げるってことだね。序列が上の大伯父上からそれとなく忠告してもらえば、男爵もそのくらいの我慢はしてくれるだろう。幸い明日は休日だ。連絡を取ってみよう」
野望と安心感から芽生えたささやかな同情心を糧に、その夜俺たちはかなり遅い時間までオイゲン公子を幼年学校に出てこさせる計画、正確にはその準備計画を練りあげた。
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