第十話 親友と往く道
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を迫られた家、剥奪された家は二十家以上に及ぶ。爵位や序列を下げられた家、謹慎を命じられた家はもっと多い。有名どころだとヒルデスハイム伯爵が嫡男の酒乱、百万マルクに及ぶ酒場への代金未払い、多額の借財を理由に爵位を黄金拍車の騎士に降格、領地没収を宣告された。この件は筆頭貴族のブラウンシュバイク公が負債を肩代わりしたため処分は撤回されたが、嫡男は廃嫡を免れなかった。
他にもノームブルク子爵は三男が黄金拍車の騎士の家の出の侍女に手を出したあげく妻にするのを拒否したかどで、ゾンネベルク子爵は次男が数年前に起こした交通事故で大帝の騎士の妻──おそらくセバスティアン・フォン・ミューゼルの妻クラリベルだろう──を死なせた際息子を十分処罰しなかったとして謹慎処分になった。いずれも次代は爵位を下げられる可能性が高いと噂されている。
軽い方ではシャフハウゼン子爵が代官の不正を放置していたことを咎められ、領地に帰り所領経営に力を入れるように命じられた──もっとも、この処分はうるさい役人連中から逃れて結婚生活を送らせてやるために表向き処分したのだとも言われている。先年結婚した子爵夫人の実家が年の離れたはとこの戦功を理由にいきなり黄金拍車の騎士の身分と威儀を整えるための支度金を与えられていることからも可能性は高いだろう──。
不良貴族が処分される一方で優れた領主や行政官である貴族に対しては領地の加増や昇爵といった恩寵があった。
辺境の貴族だったクラインゲルト子爵は長年善政を敷いたことを賞賛されて爵位を伯爵に進められ、嫡男のアーベントもアレクサンデル大公付きの近衛兵に取り立てられた。ダンク男爵、ハーフェン男爵も同じような理由で子爵に昇爵し、それぞれ惑星単位の所領を加増され開発資金の下賜を受けた。
さらに皇族出身のバルトバッフェル男爵は伯爵の称号を与えられ、旧マリーンドルフ領の管理を委ねられた。
帝国騎士階級でも真鍮の拍車の騎士の下に『従騎士』の階位が新設され、経済的貢献をした地主、企業家層や戦功のあった士官などに与えられることになった。
『中佐になればフォン持ち確定』といわれるほどの乱発は父上のような新進の帝国騎士をも唖然とさせたが、大貴族たちの恐慌ぶりは父上の比ではなかった。新たに叙任された従騎士の何割かは『遍歴騎士』として領邦を巡り、見聞を広め見識を身につけるよう命じられた。また別の何割かは行儀見習いとして皇帝陛下のお墨付きを持って大貴族の家に仕官した。いずれも皇帝陛下直属のスパイであることは言うまでもない。
おそらくはあの悪魔が皇帝陛下の耳元に吹き込んでいるのであろう、典雅さのオブラートに包まれた改革の嵐に、大貴族たちは『革命に直面したかのように』恐怖した。
ライバルは増える、潰したはずの旧敵は復活してくる、平民はどんどんフォン持ちになる、お目付
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