第七話 子をもうけぬままその十一
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「何といいましても」
「そうですね」
「私の薔薇ですね」
「そうです、先王はマリー様とマイラ様、私の娘とセーラにもそれぞれ薔薇を贈られましたが」
「私は紫ですね」
「王となられる方だったので」
「そして王になり」
王は紫の薔薇の花に手を触れつつ話した。
「今ここにいますね」
「左様です」
「父上の様に」
父である先王への敬意も見せた。
「ならねばなりませんね」
「この国の為に」
「そうですね」
「そうなります」
実際にという返事だった。
「そのことは」
「やはりそうですね」
「お励み下さい」
王として、というのだ。
「これからも」
「わかっています、では」
「今日はゆっくりとお休み下さい」
「これからですね」
「薬を入れた茶を用意しています」
「その茶を飲み」
「これからゆっくりと休まれ」
そしてというのだ。
「夜は」
「妃と共にですね」
「そうされて下さい」
王の務めを果たして欲しいというのだ。
「是非」
「その為にもですね」
「今は」
是非にと言うのだった。
「励まれて下さい」
「そうですか、ですが」
「お辛いですか」
「前からでしたが」
見れば顔色は以前より悪くなっている、それは大公だけでなく誰の目にも明らかだった。そしてそれが王の体調を示していた。
「近頃は特に」
「では」
「夜の務めもです」
王のそれもというのだ。
「苦しいです」
「では」
「何とかしたいのですが」
「とてもですか」
「夜は寝てもです」
それでもというのだ。
「朝は辛く」
「では」
「中々出来ません」
「ではです」
大公は王の話を聞いてまた言った。
「そうした時は休まれて」
「食事をですね」
「これまで以上に滋養のいいものを用意します」
こう王に言うのだった。
「ですからそれで滋養をつけられ」
「そのうえで、ですね」
「夜のお務めが出来る様にされて下さい」
「身体をよくしてからですね」
「そうされて下さい」
これが王への言葉だった。
「その様に」
「わかりました、それでは」
「お子はもうけられるべきですが無理をされてはなりません」
「無理をすればですね」
「かえってよくありません」
だからだというのだ。
「お酒は控えられ」
「そして滋養にいいものを食べ」
「お身体を大事にされて下さい」
まずはというのだった、しつこいまでに。
「その様に」
「では今日も」
「はい、滋養のつくものを召し上がられて下さい」
大公は王の身体も気遣っていた、そしてそうした食事を食べてもらっていた。だが王の身体は優れないまま次第に弱っていっていた。
第七話 完
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