暁 〜小説投稿サイト〜
Three Roses
第七話 子をもうけぬままその十

[8]前話 [2]次話
「全て王の下に」
「そして私が意のままに動かす」
「そうあるべきなのです」
「これからは」
「はい、権力は一つであるべきです」
「王が権力であるべきですか」
「その通りです」
 大公は王にはっきりと答えた。
「議会の言うことも聞くべきですが」
「議会以上にですね」
「王の権力は強くあるべきです」
 諸侯、そして議会よりもというのだ。
「ですから」
「軍もですね」
「王の下に」
「まずはこの軍がですか」
「王の下に。一万います」
 歩兵と騎兵合わせてというのだ。
「この軍でいざとなればです」
「戦うのですね」
「その時は王が率いられます」
 他ならぬ彼がというのだ。
「そうなっていきます、若しくは」
「然るべき将軍が率いる」
「王の忠実な臣である」
「そうしたことも全てですね」
「王の下に」
 将軍も然りというのだ。
「そうなります、これからは」
「これまでの国家とは大きく違いますね」
「さもなければ生き残れません」
 国、それとしてというのだ。
「これからは」
「国のあり方を変えていく」
「そうしてです」
「それが今大公がされていることですか」
「そうです、軍も強くしていきますので」
 こう言ってだ、そしてだった。
 その話をしてからだった、大公は王に微笑んでだ。こう言ったのだった。
「もう政務は終わりですね」
「午前は」
「では暫くぶりに中庭に行きますか」 
 王宮の中のその場所にというのだ。
「そうされますか」
「中庭の薔薇達をですね」
「はい、観にいかれますか」
「それでは」
 大公は王の言葉に微笑んだ、そのうえで。
 二人で王宮の中庭に出た、その中庭は今も様々な色の薔薇が咲き誇っている。その薔薇達の中でもだ。
 紫の薔薇達を見つつだ、王は自身の傍らにいる大公に言った。
「この紫の薔薇達がです」
「王は最もお好きですね」
「以前から」
「先王が最初に王に贈られた薔薇でしたね」
「はい」
 大公の言葉にこくりと頷いて答える。
「そのこともありますし」
「その時先王に言われましたね」
「紫は高貴の色、そして」
「王の色と」
「言われましたので」 
 それ故にというのだ。
「今もです」
「薔薇達の中で、ですね」
「この薔薇が最も好きです」
 紫の薔薇がというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ