21部分:第二十話
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二十話
第二十話 弱点
紫の魔女と彼女が操るゴーレムは華奈子達と対峙し続けていた。だが魔女の方からは一向に動いてはこない。ただ華奈子達が勝手に消耗していくのを待っているだけのようであった。
「やっぱり」
春奈が動かない魔女を見てそう言った。
「どうしたの、春奈ちゃん」
「赤音ちゃん、どうして魔女は動いてこないのだと思う?」
「それは」
問われたが赤音にはそれがわからなかった。首を傾げてしまった。
「何でだろう。御免、わからないや」
「わたし達の消耗を待っているのよ」
「あたし達の!?」
「ええ」
今度は華奈子に対して頷いた。
「魔法を使うと疲れるわよね」
「うん」
この場合は精神的といった意味である。魔法を使うことは精神力を使うことであった。運動で体力を使うのと同じことであった。
「魔女はそれを待っているのよ」
「そうだったの!?」
「さて、どうかしら」
上を見上げて問う華奈子を見下ろしてクスクスと笑っていた。
「もっとも私にとっては貴女達に勝てればそれでいいのだけれどね」
「それでゴーレムを出してきたのね」
「結論から言えばそうね」
梨花にそう返す。
「苦労したわよ、ゴーレムを作るのは」
笑いながらそう語った。
「魔力も随分と使ったし。けれど貴女達に勝つ為ならね。どんな苦労でも平気よ」
「それでそのゴーレムは動くのかしら」
「勿論」
美樹の言葉にくすりと笑った。
「動かせるわよ、ほら」
そう言って笛を吹きはじめた。先程の曲である。するとゴーレムが地響きを立てて動きはじめた。
「な・・・・・・」
「本当に動かせるなんて」
「そうじゃないとゴーレムを作った意味がないもの」
魔女は笑っていた。そしてひらりとゴーレムの右肩の上に飛び移ってきた。そして言った。
「ゴーレム、この娘達の相手をしてあげて」
ゴーレムは答えない。答えるかわりに魔女の笛に反応して動く。そして五人に迫ってきた。
「来るわ!」
梨花が叫ぶ。五人は咄嗟に左右に散った。
「春奈ちゃん!」
華奈子は反応が遅れた春奈を引っ張った。そして道の端に引き寄せた。それで難を避けた。
「あら」
魔女は五人がゴーレムをかわしたのを見て意外といったような声を漏らした。
「ゴーレムをかわすなんて。やるわね、やっぱり」
「この程度ならね」
華奈子がキッとした顔で魔女を見据える。
「あんたのお人形さんの動きはわかるわ」
「そう」
魔女はそれを受けて再び笛を吹きはじめた。
「ならまた行くわよ。今度はどうかした」
「!?」
そこであることに気付いた娘がいた。彼女はそれを見てあることに気付いたのであった。
第二十話 完
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ