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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第183話 劉弁廃位新帝擁立
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たが握っているのです」

 賈?は冷たい感情を感じさせない暗い目で劉協を見据えた。劉協は賈?の不気味な視線にたじろぐ。

「貴様、何をするつもりだ」

 劉協は賈?の雰囲気に狂気を見たのか警戒心を顕わにした。

「陳留王、即位なさるのですか?」

 賈?は劉協の問いに答えず自らの問いを返した。

「皇帝陛下の身の安全は保証するのであろうな」
「陳留王が董少府に反抗されなければ身の安全を保証いたしましょう」
「分かった。即位する」

 劉協は悔しそうに顔を歪ませ視線を落とした。彼女の両拳は血の気を失うほど強く握りしめていた。賈?は満足に口元に笑みを浮かべた。

「即位には儀式が必要ある。日を改めて執り行う。今日は失せろ」

 劉協は視線を落としたまま賈?に強い口調で言った。

「その必要はございません。皇帝陛下には初仕事がございます」
「貴様、初仕事だと?」

 劉協は怒りに震えながら賈?を睨んだが、当の賈?は劉協の怒りなど意に介していなかった。

「逆賊・劉正礼討伐の勅を発行ください」

 賈?はそう言うと背後に控える文官に紙と印璽の入った箱を運びこませた。

「貴様、どこまで外道なのだ!」

 劉協は怒りのあまり賈?に掴みかかった。

「拒否なされますか? 兄君がどうなってもいいのですか?」

 賈?は暗い瞳で劉協を見据えていた。劉協は身体を怒りで震わせながら瞳に涙を浮かべ睨んでいた。

「済まない」

 劉協は崩れ落ち地面を見つめ小さい声で正宗に謝罪した。その後、彼女は正宗討伐の勅を書き賈?に渡した。それを受け取った賈?は笑みを浮かべ、部下を引き連れ劉協の部屋を出ていった。部屋には劉協と劉弁。それに監視の涼州兵三人が残った。
 劉協は劉弁に駆け寄り「兄上大丈夫ですか」と声をかけ、彼の口を塞ぐ布を解いた。

「協、済まない」
「兄上、気に無さらないでください」

 劉協は気丈に笑顔を作り劉弁に言った。劉弁は妹の姿を見て哀しい表情になった。



 劉協から勅を得た賈?は禁軍を緊急招集し三万の軍勢をかき集め、正宗の屋敷を襲撃した。しかし、正宗の屋敷はもぬけの空だった。賈?は兵を四方に向かわせ、正宗を探した。その後、賈?の元に正宗が兵を引き連れ北門から逃亡していると知らせがあった。
 賈?は急いで禁軍を北門に差し向けた。そこには一人騎乗する正宗がいた。その姿は大軍を前にしても威風堂々とした様子だった。

「賈文和、とうとう本性を表したな。その狂気余が叩き潰してやろう」

 正宗は賈?を睥睨し非難した。賈?は正宗が単騎でいた事をあざ笑うように笑みを浮かべた。賈?と呂布が進み出る。呂布は賈?の先を進むと馬を止めた。それと少し距離を取り賈?が止まった。

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