第183話 劉弁廃位新帝擁立
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
「しかし!」
「私は絶対に死なない。朱里はそのために策を練りに練った。全ては私の個の力を十分に知り得た朱里だからできるのだ」
「私も着いていきます」
泉は縋るような目で正宗を見ていた。正宗は被りを振った。
「泉、お前が着いてくれば、お前が死ぬ」
「そんな危険な場所に正宗様を行かせることができるわけがありません!」
「では、部下達を死なせるつもりか。此度の賈文和との駆け引きで私の部下は死なない。禁軍兵士達の心に恐怖を刻むからだ」
正宗は神妙な表情で泉を見た。彼の決意と覚悟を知った泉は諦めた様子だった。
「正宗様、北門を必ず破りご期待に応えて見せます!」
泉は涙を拭き、強い決意をした表情で正宗に答えた。正宗は泉の両肩に手を置くと口を開いた。
「泉、頼んだぞ」
正宗主従は強い絆を胸にその時を待った。
日暮れとともに賈?は涼州兵を引き連れ宮廷内を歩いていた。宮廷で働く宦官・侍女は恐怖の表情を浮かべていた。それは賈?が劉弁を引き連れているからだろう。劉弁は涼州兵に縄でしばられ口を布で塞がれた状態で罪人のように歩かされていた。
その異様な風景に宦官・侍女は怯え済みで縮こまっていた。賈?は冷たく暗い目で彼らを無視し先を急ぐ。そして、賈?は陳留王の居室の敷地内に踏み込んだ。護衛の兵士がいたが涼州兵が惨殺しあっという間に制圧した。
「賈文和、気でも触れたか!」
賈?が劉協の寝所に踏み込むと、劉協は怒りに満ちた目で賈?を睨んだ。
「気など触れおりません。天下のために皇帝陛下には帝位を陳留王にお譲りいただきます」
賈?は落ち着いた様子で劉協に決定事項を伝えた。
「臣下が帝位について口を出すなど越権である。賈文和は分を弁えろ! さっさと皇帝陛下を解放しろ」
劉協は縄で縛られた劉弁に視線を一度向け、賈?に激しい剣幕で糾弾した。その様子に賈?は鼻で笑った。
「何がおかしい」
「お気に障りましたか。失礼いたしました」
賈?は劉協に拱手し頭を下げた。彼女の態度に劉協は不愉快な表情を浮かべた。
「陳留王、ご自分のお立場がお分かりになっておりませんね。それとも、都に劉正礼が居ると聞き気が大きくなりましたか?」
賈?はそう言うと背後に控える兵士に目配せした。その兵士は劉弁の首元に剣の刃を当てた。劉協はその行為に動揺を表すが、憎しみの怒りに染まる目で賈?を睨み付けた。
「逆賊がっ!」
「陳留王、皇帝陛下に即位いただきます。断れば皇帝陛下には少々痛い目にあっていただくことになります。やれ!」
賈?は劉協の批判を意に介さず、暴れる劉弁を地面に押しつけ手を地面につけさけ小指のすぐ側に剣を突き立てた。
「陳留王、皇帝陛下の命はあな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ