第41話
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「そうか……クロスベルは『国家』じゃない。エレボニアとカルバードによって承認された『自治州』でしかない……」
「そう、それはつまり『国際条約』を締結できるような国家主権を持っていないという事だ。経済的な『協定』は結べても対等な立場での『条約』は結べない。それが結果的に、この地の安全保障をひどく危うくさせてしまっている訳だ。」
「ややこしいが……何となくわかってきたぜ。」
「…………………」
イアンの説明を聞いたランディは溜息を吐き、リィンは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「……すみません。ちょっといいですか?クロスベル以外にも自治州というのはあります。レマン自治州、オレド自治州、ノーザンブリア自治州……それらの自治州と同じように国際条約は結べないのですか?」
「いや、そんな事はない。確かにそれらの自治州もそれぞれの歴史的事情によって国家としては成立していないが……『宗主国』から委譲される形で同等の主権が認められている。」
「宗主国……」
ティオの疑問に答えたイアンの話を聞いたノエルは呟き
「それらの自治州が決定的にクロスベルと異なる点………それは成立を承認したのが『アルテリア法国』という事なの。」
エリィが説明を続けた。
「あ……」
「アルテリア法国というと七耀教会の総本山だったっけ?」
「ええ、国土は小さいけど宗教的な権威は持っているから……自治州や自由都市の多くはあそこに頼って成立しているの。」
「だがクロスベルは、エレボニアとカルバードに承認されて成立する『自治州』……いわば宗主国を2つも持っている形になっているんだ。」
「ええ、そしてそれが歴史的に様々な”ねじれ”と悲劇を生んだ……クロスベルに少しでも主権が認められれば、もう少し状況は変わるでしょうけど……それを2大国が認める事は永遠にあり得ないでしょうね。しかも”教団”の件でリウイお義兄様達が手を貸した事でメンフィルが強引に介入して来た今、状況はさらに厳しくなっているわ。」
ロイドの説明を補足するようにエリィは説明をした後疲れた表情で溜息を吐き
「……そんな……」
「……溜息が出てしまいますね。」
ノエルは複雑そうな表情をし、ティオは溜息を吐いた。
「―――話を戻すが、どうやら宰相と大統領、さらにリフィア殿下はそれぞれ、安全保障に関する提案があるらしい。無論それは、対等な条約を各国が結ぶというものではない。……今頃議長や市長たちは警戒を強めている所だろうね。」
イアンの説明を聞いたロイド達全員は不安そうな表情や複雑そうな表情で黙り込んだ。
「ハハ、すまない。不安にさせてしまったようだな。まあ、マクダエル議長などはこのような状況は慣れっこだろう。それにデ
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