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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第二十九話「悲しみの過去。歩みだす未来」
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は王妃だって」
「王妃が?そんな、母親が自分の息子を攫わせるだなんてそんな馬鹿な」
「俺は王位を弟に譲って旅に出た王兄の息子で王妃は俺の母じゃ無いし王妃には実の息子が居る。旅の途中で城に立ち寄った時に襲って来た魔族との戦いで父は死に、俺は王子として城に残された。王妃は自分の息子に王位を継がせるのに俺が邪魔だったんだろうな」

そんな彼の独白に村人達の怒りも徐々に収まっていく。

「何とかヘンリーを救い出して遺跡の外に出ようとした時に俺達の前にアイツが現われたんだ。…ゲマが!」
「くそぅ!」

二人は拳を握り締めながらそう語り、爪が掌に食い込んだのかその手からは血が滲み出し、シーザーとスラリンが心配そうに擦り寄る。

「あっけなく倒されて、人質になった俺達のせいで親父は抵抗らしい抵抗が出来すら出来ずに…」
「ま、まさか」
「そして親父、いや父は……死んだ。俺達を守って…」

リュカの言葉に村人達は皆、一様に言葉を失った。

「ま、まさか…。あのパパス殿が、信じられん」
「う、嘘だろ、パパスが…。なあリュカ、嘘だと言ってくれよ!」

長老が目を覆って俯き、武器屋の親父はリュカに詰め寄り、その両肩を掴んで揺さぶる。

「クオーンッ!クオオーーーンッ!」

シーザーはリュカを苛めるなとばかりに武器屋の親父を威嚇する。

「その手を離せ!」
「止めてよ、おじさん!」
「それ以上リュカ殿を責めるのなら例え親父殿と言えども見過ごす事は出来ぬぞ」
「リュカヲキズツケルナラ、ユルサナイ」
「ブルルルーーンッ、ヒヒーーンッ!」

ヘンリーにスラリンとピエール、ブラウンとパトリシアの声に親父も漸く落ち着いたのか掴んでいた手を離し、申し訳なさそうに俯いて謝罪を口にする。

「す、すまねえリュカ、少しうろたえちまった。お前の方がずっと辛いって言うのによ」
「いや、いいんだ。気にしないでよ」

素直に謝った親父に納得したのか、仲間達も落ち着いて座り直し、そしてピエールはさっきから気になっていた事をリュカに尋ねる。

「それでリュカ殿。先程からリンクスの姿が見えないのだがまさかリンクスもその時に?」
「いや、あの後気絶した俺達はゲマに連れ去られたんだが、リンクスは魔物だからあのままほって置かれたんだろう。だから行方は解らないけどきっと無事で居てくれる筈だ、きっと探し出す」
「さ、攫われたって、何処に?」
「セントベレスだよ。其処で光の教団の大神殿を作る為の奴隷として働かされていたんだ、10年もの間ずっと。そして教団の悪事に気付いた兵士の協力で何とか脱出する事が出来たんだ」

村人達は自分達と同じ位に…否、年齢を考えれば自分達よりも遥かに悲惨で厳しい日々を送って来た語り終え、俯いている二人に何も言う事が
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