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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十六話 三人目の妹との邂逅
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だ。それも一定の動きを。
「・・・・というわけだ。敵艦隊はその総数をすべて沖ノ島周辺に配置しているのではない。警備艦隊もいるし、東方からやってくる敵の輸送艦隊の護衛もしなくてはならない。そこが付け目だ。・・・大淀すまん、少し代わってくれ。これを見てほしい。」
長門が大淀に代わって自身で操作すると、識別が現れた。味方艦隊は青。敵艦隊は赤で表示されている。
「作戦概略はこうだ。我々は5個艦隊を編成する。そのうち2個艦隊は陽動だ。北西と真北から沖ノ島に進出し、敵艦隊を誘い出す。誘い出したところを各基地から発進した航空隊がこれを叩く。敵が増援にくれば陽動艦隊は適宜これを航空隊の支援の下撃破していく。そしてそのすきに主力部隊として3個艦隊をもって敵泊地に全力突入し、中枢艦隊を撃滅する。中枢艦隊さえ撃滅すれば、敵の指揮系統は失われ、統一行動はできなくなる。指揮系統を失った艦隊は寄せ集めに等しい。」
「敵がその手に乗るでしょうか。」
疑問を唱えたのは霧島だった。
「理由は?」
「敵にすれば沖ノ島を守備していればいいのですから、周辺に点在する艦隊を向かわせればそれで済むのではないでしょうか?1個艦隊同士の戦いではわが方が負けるとは思いませんし、敵もそれを知っているはずです。したがって、1か所につき2個艦隊程度を差し向ければ迎撃としては必要にして十分ではないでしょうか。」
「それは可能性としては大いにある。」
長門は認めた。
「だが、陽動においてすべての敵を引き付ける必要はない。敵の注意をひきつけ、敵の敷いた布陣に穴を開けられればそれでいいのだ。」
長門は壇上の机に両手をついて身を乗り出した。
「この作戦の要は奇襲だ。敵をすべて殲滅する必要はない。あくまで敵の指令系統を破壊すること、的確かつ速やかに敵の中枢艦隊を殲滅して引き揚げるのが目的だからな。」
「手ぬるいわ。」
不意に背後から声がした。皆が一斉に声の主を見た。会議室の扉が開いて一人の艦娘が入ってくるところだった。尾張だった。
「また貴様か。不服なのか。」
長門が苦々しげにそう言った。
「不服よ。作戦を起こすなら相手を徹底的に叩き潰し、二度と近寄らせないようにすることが必要なの。」
「そんなことをすればわが方に犠牲が多大になる。我々の目的はノース・ステイトとの通信回復であって、単に深海棲艦を撃滅すればいいというものではない。貴様の言葉は戦術的には確かに一理なくはないが、戦略的には全く意味をなさない。」
「意味を成すわ。この海域の深海棲艦をすべて殲滅すれば、私たちの進路はぐっと広くなる。行動範囲は大幅に広がり、今後の作戦行動も柔軟かつ効果的に組み立てられるもの。」
長門が渋面を作って何か言いかけたが、その前に陸奥が立ち上がった。
「成功すればよ。わかっているのかしら。沖ノ島攻略は今
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