第十六話 三人目の妹との邂逅
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に笑った。
「あなたは本当にお姉さんなのね。いいえ、いい意味で。だから良かったわ。あの子をあなたに会わせて。だからお願い。どうかあの子を完全更生とまではいかなくても、少なくともまともに会話してもイラつかせないようにして見せて。」
それに関しては紀伊は自信が全くなかった。讃岐や近江のおかげで尾張と会話してもさほど衝撃を受けなかった。だが、それと尾張のあのような性格を直そうとすることは全く別の問題である。まして相手が自分のことを嫌っているとなればなおさらだ。
「努力します。」
紀伊は小さな声でそう言った。そういうのが精いっぱいだった。
「その言葉だけで充分。さ、次はお待ちかねかな。あなたの姉妹たちが外で待っているわよ。話をする?」
「近江と讃岐が?はい!」
紀伊は嬉しそうにうなずいた。葵が病室の外に呼びかけると、待ちきれなかったようにドアが開いて姉妹が二人飛び込んできた。
横須賀鎮守府作戦会議室――。
主だった各艦隊指揮官艦娘と派遣艦隊指揮官、それに作戦指揮立案艦娘として大淀が出席している。
「遠路ご苦労だった。」
長門は各艦娘を見まわした。
「早速だが沖ノ島攻略作戦について、基本方針を話したい。その上で意見あれば積極的な発言を求む。」
長門は大淀を見た。
「作戦方針を説明します。」
大淀がディスプレイに沖ノ島周辺の海図を映し出した。ここ横須賀鎮守府では電子機器を使用した最新鋭の作戦立案システムが確立されている。黒板での手書きの作戦だった呉鎮守府から来た榛名たちは目を見張った。
「反復出撃した偵察機及び偵察艦隊によって、沖ノ島及びその周辺に展開する敵艦隊の陣容は・・・・・。」
ディスプレイ上に艦隊位置とその詳細が映し出されていく。
「周辺に約10個艦隊、内訳は空母8、戦艦12、重巡10、軽巡15、駆逐艦多数を確認。そして泊地に展開する中枢艦隊は超弩級戦艦少なくとも2隻、装甲空母2隻、フラッグシップ級戦艦2隻、護衛艦隊として重巡以下多数。なお、沖ノ島にも敵港湾基地が存在する模様です。」
艦娘たちは騒然となった。敵の総数は少なくとも100隻以上と推定されるが、こちらは数十人程度であり、戦力としては差がありすぎた。本来であれば攻める方は守備側の3倍の戦力は欲しいところだというのに。
「無理だわ。正面から戦って倍近い敵に勝つなんて・・・。そう思わないですか、扶桑姉様。」
山城が皆の思いを真っ先に代弁した。
「そうだ。無理だ。」
長門が肯定したのでみんな驚いた。
「ただし、正面から全面衝突すれば、の話だがな。大淀。」
「はい。皆さん、これを見てください。」
大淀がコンソールを操作すると、表記されていた各敵艦隊に変化がみられた。右上に日付と時間が表示され、その時間が経過するごとに各艦隊が動いているの
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