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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十六話 三人目の妹との邂逅
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伊は驚いた。
銀髪に青い髪が見え隠れしている。引き結ばれた硬い口元、青い冷たい瞳は冷然と自分を見つめている。だが、その姿は自分とそっくりだった。
「まさか・・・・。」
紀伊は葵を見た。
「そう。お察しの通り。あなたの妹よ。紀伊型空母戦艦2番艦尾張で――。」
「私はあなたの妹なんかじゃない。」
開口一番放たれた言葉に紀伊はびっくりした。
「あなたはプロトタイプなのよ。そのプロトタイプを基にして設計されたのが私以下の艦娘なの。だから実質的には私が長女。何度言ったらわかってもらえるの?」
「ふうん、じゃああなたにとって紀伊は母親っていうわけ?」
「なっ!?」
葵の言葉に尾張は一瞬うろたえたように顔を赤くしたが、次の瞬間激しく首を振っていた。
「そんなこと、ありえないし!!」
「じゃあ姉妹でいいじゃないの。だいたいあなたと紀伊とどこに差があるわけ?艤装だって同じ41センチ3連装砲だし、艦載機の搭載能力も運用能力も一緒。航続距離も最大速力も一緒。背も一緒。体重も一緒かしらね。(期せずして紀伊も尾張も同時に赤くなった。)差があるとすると、その髪の色と瞳の色。そうね、後付け加えればあなたの生意気な性格くらいね。」
「私は艦隊旗艦としてふさわしいように設計されたの。だから情報処理能力も電波探知能力も、演算処理もあなたを上回っているわよ。」
「データ上はね。」
「データ上だけじゃないんだって!!」
思わず紀伊は笑ってしまっていた。
「何がおかしいのよ!!」
尾張が食って掛かった。
「あ、ごめんなさい。なんか漫才みたいで面白くて。」
「フン!!どこまでもおめでたいわね。言っておきますけれど、私はあなたを姉と認めないわ。着任早々に負傷してドックに放り込まれている艦娘なんて、最ッ低よ!!葵、いいでしょ?義理は果たしたわ!」
尾張が身をひるがえした次の瞬間、バァン!!と音を立てて病室のドアが閉まっていた。埃がうっすらと舞い上がり、それは静かに床に落ちて動かなくなった。
やれやれと葵は肩をすくめた。
「ごめんね。せっかくの再会だったのに。ああいう子だから、あなたも気を悪くしたんじゃない?情けないわね。つっぱって。あれじゃあ誰からも嫌われるのは当り前よ。」
そう言っていても後半の言葉にはどこか面白そうな響きが含まれていた。
「確かにものすごい性格の子でした。近江も讃岐もこのことを言っていたんですね。わかりました。」
「気にならないの?」
案外紀伊が顔色も変えていないので、葵は不思議そうに尋ねた。
「気にしていますし、ショックです。でも、何か無理をしているような気がするんです。私の期待だけなのかもしれませんけれど、あの子は本当は心の底ではそう思っていないんじゃないかって・・・・考えすぎでしょうか?」
あははははっと葵は気持ちよさそう
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