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第十五話
第十五話 頂上へ
華奈子達はそのまま歩いていった。春奈をフォローしながら上へ上へと進んでいく。
「もうちょっとだからね」
華奈子が春奈を励ます。
「だから頑張ろうね、春奈ちゃん」
「うん」
春奈は微笑んで頷く。汗をタオルで拭く。
「もう少しなんだね」
「そうだよ、もう少し」
また励ます。
「だから歩こう。歩けばそれだけ頂上に近づけるよ」
「そうだね」
「頂上に行ったらいいことがあるからね」
美樹も言う。
「いいこと!?」
春奈は美樹に尋ねた。
「そうよ、お弁当。私が今日の為に頑張って作ったお弁当があるのよ」
「美樹ちゃんの!?」
春奈だけではなかった。華奈子達もそれを聞いて目を輝かせた。美樹は学校で一番の料理の名人と言われているのだ。その腕は家庭科の先生よりも上であった。
「うん。それもサンドイッチ」
「サンドイッチ」
聞いただけで涎が出そうであった。
「そうよ。ハムサンドにタマゴサンド、カツサンドにハンバーグサンドもあるわよ。あと野菜サンドも」
「凄い・・・・・・」
「そんなに」
「豪勢ね」
「だから言ったじゃない。腕を振るったって。早く食べたいでしょ」
「勿論」
四人は美樹にかぶりつくようにして頷いた。
「ここじゃ駄目よね」
「華奈子ちゃん」
美樹は本当に涎を垂らす華奈子に対して呆れた声を向けた。
「駄目に決まってるでしょ。全部頂上で」
「そうなの」
それを聞いて少しガッカリしたような顔になった。
「けれど頂上に行ったら絶対にあるから。頑張ろうよ」
「そうね」
赤音が頷く。
「こけてもね。それにくじけず行きましょ」
「こけるのは赤音ちゃんだけよ」
「大丈夫だって・・・・・・あっ」
言っている傍から転んでこけてしまった。
「あたたたたたた・・・・・・」
「言わんこっちゃない」
それを見て他の四人は呆れてしまっていた。けれどそれで春奈はさらにリラックスできた。華奈子の励ましの言葉、美樹のサンドイッチ、そして今の赤音を見て心も元気さを取り戻したのだ。
「じゃあ行こうか」
「うん!」
最後に梨花が声をかけて皆頷く。そして頂上へ向けて最後の足を進めた。
遂に頂上が手に届くところまで辿り着いた。そして五人はそこに足を踏み入れたのであった。
第十五話 完
2005・6・10
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