第65話コンビニ強盗未遂事件
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脇腹、右首筋、頭の順に竹刀を当て、最後は左肩を突き強盗を転ばせる。さらに追撃として、転ばせて床に仰向けになった強盗にのし掛かり両腕を足で押さえつけて、顔面を突き刺そうとーーーして寸前で止めた。
「これが本物の剣だったら・・・お前、完全に死んでたぜ」
竜くんはそれだけ言って、強盗は恐怖のあまりに失神してしまった。今の一瞬で終わった強盗未遂事件、恐かったけど、竜くんーーー
「カッコイイ・・・」
素直にそう思えてしまう。あたしが呟いた言葉を筆頭にしたかのように、店員さんや他のお客さんが竜くんに拍手や歓声を浴びせ始めた。それに対し竜くんは照れながら頭を掻き、竹刀を血を振り払うかのように小さく速く振りーーー竹刀を背中に運ぶ。
「・・・あ。ヤベッ、またクセが・・・」
あたしはその光景に既視感を覚えた。お兄ちゃんがSAOから帰ってきて数日後、剣道の試合をした直後にお兄ちゃんが取った行動と全く同じだった。VR世界の癖は現実世界にも影響が出る。SAOでずっと剣を振り回していたお兄ちゃんはその動作が完全に癖になってしまって、その影響を現実世界にまで及んでいた。今の竜くんのようにーーー
「ありがとうございますお客様!助かりました!大丈夫ですか?その傷・・・」
「大丈夫です。それより早く警察に通報してください。それと・・・溶けたアイスの代金はこの強盗に」
「警察ならウチが呼んだで。全く、無茶しすぎやであんた!寿命が何年か縮んだで」
「悪かったって・・・」
通報はかんなさんがやってくれたし、これでもう安心だね。かんなさんの言う通り、寿命が何年か縮まった気がするーーー
「直葉ちゃん。ごめんな、勝手に竹刀使っちまって。どこか壊れてたら・・・弁償するよ」
気付いたら竜くんがこっちに歩いてきて、竹刀を返してくれた。確かに勝手に使って、もし壊れてたら弁償してもらおうと思ったけどーーーうん、どこも壊れてないかな。とりあえず部活には何の問題もーーーいや、ここはあえてーーー
「・・・芯が折れてる」
「えぇっ!!?」
竜くんには悪いけど、ここは嘘を吐かせてもらおう。
「じゃあ、弁償するよ・・・」
「いえ、別にお財布を薄くしなくても大丈夫です。その代わりに・・・」
「?」
弁償なんかより、ずっといいこと思い付いちゃった。それはーーー
「弁償する代わりに・・・今度の日曜、どこか遊びに連れてってください」
今度の日曜は部活が休み、その日に彼に遊びに連れてってもらう。ちょっと強引すぎる気もするけど、あたしとしてはいい機会だ。
「・・・分かった。それで気が済むなら、存分に付き合うよ」
「はい!ありがとうございます!」
どこが良いかなーーーなんて真面目に考えてくれて
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