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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十四話 仕掛けるよりも収集作業の方が大変なのです。
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この人は肝が太い。自分だったら絶対にこんなことはできない。
「さて、今のこの状況では私が最先任ではあるが、しかし私は貴官にこの艦隊の指揮権をゆだねるとしよう」
「ええっ!?」
この人は真面目なのか、バカなのか、それとも冗談なのか。フィオーナはあきれ返るばかりだった。
「何をしている?今艦隊は進撃中だ。ぐずぐずしていると貴官の言う通りになるのであろう」
「・・・・・・」
「この睡眠薬の効き目はほぼ丸一日だ。今遮音力場中にいる我々の会話は外の下士官・兵士には聞こえていない。全員が目の前の戦闘に集中しているから、何が起こったのかも気づいていない。早くしなければ、こちらも危ないぞ」
フィオーナは決断した。早くしなくてはこちらも危ない。その通りである。しかも戦況は刻一刻と推移しているのだ。すぐに動かなくてはならない。
「わかりました。すぐに安全な場所に運び出して下さい」
「承知した。・・・・おい!!」
リューネブルク准将は遮音力場の外に出て、兵卒たちを呼び寄せた。兵卒たちは司令官、参謀長以下が皆意識を失っているのをみて愕然となった。命令を下していた者たちが急にいなくなったのだ。俺たちはこれからどうすればいいのかと絶望にあふれんばかりの顔をしている。
「司令官、参謀長以下が昏倒した。司令官の命令により、フロイレイン・フィオーナが今からこの艦隊の指揮を執る!!」
皆一様に驚いた顔をして二人を呆然と見つめている。まだ10代の女性士官が指揮を執るだと!?だが、司令部要員が全滅(?)している今、わらをもすがりたい思いだった。参謀長以下を医療室にお連れしますか?という問いかけには、リューネブルク准将は首を横に振ってこういった。すなわち今は戦闘中なのだ、貴様らはそんなことをしていて死にたいのか、黙って隅の方に寝かせておけ、と。その一言で何事かを薄々察したらしく、黙って兵たちは作業を行うと、元の場所に戻っていった。
「・・・・・・」
ともかくもやるしかない。フィオーナは艦橋中央にたった。一時の臨時であるとはいえ(それも通常ではありえない方法によって)、今は一個艦隊の司令官である。不意に前世の記憶が戻ってきた。前世では一個師団16000人を指揮し、4倍以上の敵を相手に一歩も引かなかったことを思いだしたのだ。深呼吸一つすると、落ち着きができてきた。あのころの気持ちに戻ってきた。
規模はまるで違うが、やっていることは一緒である。フィオーナは第一の命令として、司令官以下が昏倒したことを伏せ、艦隊への指令は生の声ではなく、あくまで通信文で行うことを、そして麾下の全艦隊に指示コードに従うことを徹底させた。妨害電波があるとはいっても、艦隊内部の通信ならば艦同士の数珠つなぎ式で可能なのである。そして、次に――。
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