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第十四話
第十四話 遠足にて
今日は遠足、華奈子達六年生はピクニックに出かけていた。場所は地元にある山である。かなり高い山として知られている。
「ふうう」
春奈は入口のところでもう溜息をついている。
「こんな山登るの嫌よ」
「何言ってるの、まだ入口よ」
華奈子がそう言って励ます。五人は一組になってパーティーを組んでいた。
「頑張ろうよ、頂上まで」
「高いね」
春奈は上を見上げてそう溜息をついた。
「箒に乗ったらすぐなのに」
「それじゃあ何にもならないよ」
梨花が注意する。
「頂上まで歩いてこそ、だよ。少しずつ歩こう」
「お菓子もあるし」
美樹が言う。
「あたしもいるしね」
「赤音ちゃんはこけないようにね」
「わかってるわよ」
そんなやりとりの後で五人はようやく歩きはじめた。春奈はふうふう言いながら前へ進む。他の四人がそれをフォローする形となっている。
「足下気をつけてね・・・・・・あっ」
水辺の岩場で赤音が転んでしまった。
「いたたたたたた・・・・・・」
「言ってる傍から」
「赤音ちゃん、大丈夫?」
「うん、何とかね」
幸い怪我はなかった。赤音はこけなれているのか怪我一つなかった。
「けれど、危ないのは事実だからね。春奈ちゃんも気をつけてね」
「うん」
春奈はゆっくりと足を進めていく。そして何とか岩場を越えた。だが頂上へはまだまだだ。
「まだあるのね」
「もう半分いったよ」
ここで華奈子がそう言った。
「あと半分、頑張ろうね」
「あと半分だけ」
「そう、半分だけ。頑張ろうよ」
「そうね」
春奈はその言葉に頷いた。
「私やってみるわ。そして何とか頂上まで行く」
「そう、そう自分で思わないと駄目なんだよ」
梨花の声も強いものになった。
「春奈ちゃんがそう思ったらやれるよ」
「こけてもね」
赤音もさっきこけたことをあえて自分で言って励ます。
「立ち上がればいいから。それでまた歩きはじめればいいし」
「こけても」
「そうだよ」
「春奈ちゃん」
「美樹ちゃん」
今度は美樹が話し掛けてきた。
「五人で行こうよ、頂上までね」
「うん」
最後に美樹の言葉に頷いた。そして五人は頂上を目指すのであった。
第十四話 完
2005・6・9
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