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第十三話
第十三話 二人のお婆ちゃん
華奈子と美奈子には曾祖母ちゃんがいる。お父さんのお祖母さんでもうかなりの年だ。おっとりした性格の優しい人である。
その曾祖母ちゃんの妹もいる。曾祖母ちゃんより一つ下でこちらは少しせっかちな人だ。
二人は華奈子達の家の近くに二人で住んでいる。二人共もう一人身で今は互いに二人で暮らしている。華奈子達は曾祖母ちゃんを大きなおばちゃん、その妹を小さなおばちゃんと呼んでいる。本当は曾祖母ちゃんと呼ばなければいけないのだが子供の頃舌足らずでそう呼んでしまいそれが定着している。
二人はよくこの曾祖母ちゃんの家に行く。いつも優しくしてくれるからだ。
「あ、華奈子だね」
「美奈子も。よく来てくれたね」
「おばちゃん元気?」
「ああ、元気だよ」
日差しのよい部屋で二人並んで座っている。背は華奈子達と同じ位だが顔はもう皺しかない。
それでも凄く優しい顔をしている。そして華奈子達が来るといつも笑ってくれるのだ。
「よく来てくれたね」
「一体何の用だい」
「別に」
華奈子達はそれに答えた。
「ただ顔見せに来ただけだけど」
「それで充分なんだよ」
「私等はあんた達の顔を見れればそれでいいんだからね」
二人はいつもそう言ってくれる。そしてお小遣いをくれるのだ。
だから行くという一面が確かにあるがそれ以上にこの二人のお婆ちゃんが好きだった。華奈子と美奈子にとってはかけがえのない存在でもあった。
けれどそんな二人をとても怖がるのもいた。
「またあの人達のとこへ行くの?」
「おいらは勘弁したいな」
「何で?とても優しいよ」
華奈子はそんなことを言うタロとライゾウを不思議そうな顔で見た。二匹はこの二人のお婆ちゃんが苦手なのだ。
「あんなに優しいのに。タロやライゾウにも優しいでしょ」
「そりゃそうだけれど」
「何か怖いんだ」
「怖い?」
それが華奈子にはわからなかった。どうしてなのか首を傾げる。だがお父さんがそれに答えてくれた。
「お祖母ちゃん達、華奈子達にとっては曾祖母ちゃん達はね」
「うん」
「昔うちで飼っていた犬や猫のしつけはね。おばちゃん達がしていたんだよ」
「そうだったの」
「ペシっと」
頭を叩く仕草をする。
「うん。それが凄くてね。少しでも悪さをしたらペシッと叩かれるんだ。それでうちのペットは昔からあの二人には頭が上がらないんだよ」
「へえ」
華奈子はそれを聞いて意外そうな顔をした。
「おばちゃん達が」
「だからだろうね。タロやライゾウがおばちゃん達を怖がるのは。それを本能で察しているんだよ」
「そうだったんだ。ねえタロにライゾウ」
「何」
「やっぱりおばちゃん達が怖い」
「わかったでしょ、それ
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