夜道を歩く
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っていたとは思わなかった。
「迷惑かけたな」
「いいえ。とても楽しかったわ」
「そうだな。二人を探すのに手間取ったしな」
「っ…誰の子とかしらね」
「さて、誰のことか」
歩きながらも、二人して楽しそうに話す。
たまに見る、入れないなと思う空気がそこにあった。
「ほれほれ、そんなに離れるとまた迷子になるぞ」
「さ、先に行ってくれて構わないわ」
「いや、別に先に行く意味も大して無いだろ。直ぐそこだし」
比企谷が指差した方向には、ホテル【平安の林】の玄関から漏れる光がちらついていた。
「あなた達はそうでも、私は困るの…」
「何が?」「ん?」
「その…こんな時間だし、一緒にいるのを見られると…その…」
「っ…!そ、そうか」「…?」
いってる意味が分からない。
修学旅行なんだから、良いわけなら「買い物にいってました」ですむんじゃないのか?
「(なぁ、何が困るんだ?」
「(は!?わかんねぇのかよ…」
「(良く分からんが、誰かに見られるのが困ると言うのはわかった。
けどそれの何が嫌なんだ?」
「(お前…」
こそこそと小声で話す俺と比企谷。
そうしているうちにホテル前までたどり着いてしまい、気づけば解散の流れになっていた。
「じゃあな」
「ええ、おやすみなさい」
「腹出しぃっ!」
俺も一声かけようと、声を発したところで比企谷につねられた。
「その、送ってくれてありがとう」
俺の痛みなど露知らず、何事もなかったように雪ノ下は部屋へと歩いていった。
「何しやがる…」
「待て、俺はお前を助けてやったんだ」
「……どう言うことだ」
「良く考えろ。
お前は恐らく『腹を出して寝るなよ』と言おうとしただろう?」
「ああ」
「そんなことをアイツに言ってみろ。
小一時間、もしくは明日にでも制裁が待っていることは想像に固くない」
「……た、助かった…!」
その後風呂に入って寝た。
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