episode10
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動することは出来ない!」
「ナイスだぜ、岩丸!」
砂塵の向こう側で二人の和気藹々とした声が響いてくるなか、隣から微かな笑い声が聴こえて来た。 酷く冷淡で、冷酷な声音を伴って。
「……もう勝った、とお思いでしょうか」
「「なに?!」」
「あなた達はもう勝ったと思ったのでしょう。 絶対に勝つ、ではなくもう勝った。 事実を確かめもせずにそう確信した……」
「っ……!」
ごくりと息を呑む音がはっきりと聞こえてくる。 直後、強い風が砂煙を払い退けるとフィールドにはテスタロスを除いた7体のモンスター達が未だ健在だった。 まさかと思い、腕に装着された決闘盤のライフを見れば、残りライフからモンスター一体分、500ポイントだけ引かれている。
何が起こったのかわからないといった表情の彼らを一瞥し、ハァと息を吐く楓さん。
「〈桜姫タレイア〉がフィールド上に存在する限り、植物族は効果によって破壊されない。 また〈薔薇恋人〉の効果により特殊召喚された〈タレイア〉はこのターン、罠カードの効果を受けない。 爪が甘いんですよ、あなた達は」
「これだから、二流は」と吐き捨てるように言った言葉が彼らの怒りの琴線に触れたのか、眼に明確な怒りの感情が露わになる。
「ならば、〈連撃の帝王〉の効果で手札の〈剛地帝グランマーグ〉をーー」
「何を生贄にするつもりですかねぇ。 言っときますが、〈シード・トークン〉はアドバンス召喚のリリースには使えませんよ」
「んな、馬鹿なっ?!」
憤怒から一転、絶望の淵へと叩き込まれた岩丸と炎丸はがくりと膝を折り、地面へと座り込んでしまう。 彼らのフィールドに残されたのは機能しない二枚のカードと戦闘値皆無の二体のトークン。 この様子では手札に防ぐカードもないのだろう。 楓さんが頭上に掲げた右手を振り下ろし、最後の命令を下す。
「フィナーレです。 せめて最後くらいは美しく散りなさい。 全モンスターで一斉攻撃!」
「「うわぁぁぁぁぁぁ!!?」」
[炎丸・岩丸]LP2100→0
色とりどりの花弁を乗せた風がトークンを砕きつつ、一切の容赦なく二人をライフ共々吹き飛ばす。 デュエル終了を告げるブザーが虚しく響いた。
◇
「さて、斎王について知ってることをキリキリキリキリ吐いてもらいますよ〜!」
ゴキゴキと拳を鳴らしつつ楓さんが倒れ伏す二人に詰め寄る。 よほど最後のが堪えたのか楓さんを見るなり、顔を青ざめさせた二人が顔の前で手を左右に振りながら、慌てて答える。
「ま、待ってくれ! 俺達は美寿知様に命じられた通りにお前達にデュエルを挑んだだけだ! 斎王のことなんて知らない!」
「犯人は皆そう言うんですよ! しらばっくれるのもいい加減にーーーっ!」
〈ローズ・テンタクルス〉のカー
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