第十五話 横須賀へ
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「私も行くわ。」
「加賀さん?」
「早く。時間がないわ。」
「・・・はい!」
「姉様、私も行きます!」
紀伊、加賀、近江はいったん内陸に向けて転進し、その後すっとターンすると一気に速力をまし、艦載機を次々と発艦させていった。
赤城はその様子を力の失せた目で見送っていた。その様子を見ていたビスマルクはただちに暁と響を呼び寄せた。
「・・・・暁、響、赤城をお願い。速やかに横須賀鎮守府に連れて行って。急いで!」
ビスマルクが叫んだ。二人はうなずくと赤城の手を取るようにして彼方に走り去っていった。その様子を見送ったビスマルクは天を仰いだ。艦載機が旋回して東方に飛び去っていく。その彼方には待ち構えている重巡戦隊がいるはずだった。いや、既にその姿は目視できるまでに接近してきている。
「よし、ここからは敵との競争よ。みんな覚悟はいいわね!?」
ビスマルクの言葉に皆はうなずき合った。
同時刻、佐世保鎮守府――。
「本当に、本当にお世話になりました。」
翔鶴が深々と頭を下げた。ケガが完治し、リハビリもおおむねうまくいったので、両提督の話し合いの末、後は呉鎮守府に戻り本格的なリハビリと復帰を行うこととしたのだ。帰投するにあたっては、瑞鶴はもちろん同行するが、そのほかに護衛艦隊として神通、時雨、白雪、睦月、皐月が同行することとなった。扶桑からの連絡で、関門海峡付近で伊勢、日向、足柄、妙高、不知火、綾波らが出迎えることとなっていた。
「いいえ、ケガが完治できて本当によかったです。」
扶桑がにっこりした。瑞鶴と翔鶴たちの見送りが終わり次第、彼女と山城も護衛駆逐艦たちと共に横須賀に出立する予定になっていた。
「こちらこそ、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
「いいえ、それはこちらの言うべき言葉です。同行できなくて申し訳ありませんが、道中お気をつけて。神通さん。お願いしますね。」
扶桑は視線を向けた。
「よろしくお願いします。」
翔鶴が頭を下げた。神通も一礼しながら、
「こちらこそ、よろしくお願いします。及ばずながら呉鎮守府まで同行させていただきます。では、行きましょうか。」
一行は扶桑たちに別れを告げ、呉鎮守府へと海上に滑り出した。神通の指示で駆逐艦娘たちは翔鶴、瑞鶴を護るようにして輪形陣形を取って周辺を警戒しながら進んでいく。二人は申し訳なく思ったが、神通から「警戒は必要ですし、お二人が怪我をされたら、両提督や扶桑先輩方に顔向けできませんから。」と言われ、素直に感謝することにした。
「榛名たち、今頃は横須賀についているかな、翔鶴姉。」
翔鶴はちらっと腕時計を見た。綺麗なプラチナルビー色のほっそりしたバンドで留められている。
「もうそろそろかしらね。無事でいてくれればいいのだけれど・・・・・。」
「大丈夫よ。あ〜
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