SIDE:A
第四話
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しかしまあ、まだ一本も取っていない身としてはだからこそやる気が出るというもの。
今日こそは一本取って見せると息巻き、忍具が入ったホルスターを手に取った。
† † †
ハルトと九喇嘛は飛雷神の術で鍛錬場である山奥へやってきた。修行の場として木を伐採し空間を作ったため、遮蔽物なしでの戦闘には最適の場所である。もっぱらミナトや九喇嘛と修行をする時はこの場所を使っている。
ここなら人がいないため見つかることないし、一応遮音結界を張っておけば音漏れの心配もない。
太陽が真上を通過した。強い日差しが照りつける中、互いに十分距離を取る。
ハルトは白のTシャツに黒のズボン、そして黒地に赤いラインが入ったフード付きコート姿。対して九喇嘛は色打掛という雅な姿である。
「では、いつも通り火遁はなしでよいな」
「ああ。気絶、もしくは降参で終了ね」
「うむ。どこからでも掛かって来るがよい」
九喇嘛が手を一振りすると、手首から先が一瞬燃える。
火が消えると、いつの間にか鉄扇が握られていた。九喇嘛の主要武器【狐扇】だ。
バッと扇を開き、優雅に仰ぐその姿からは絶対的な自信が見て取れる。九尾の狐という矜持と百二戦百二勝という実績がその余裕を形作っているのだろう。
「それじゃあ、いくぞ!」
九喇嘛の実力はハルトもよく知っているため小手調べはいらない。
(最初から飛ばしていく!)
腰に備え付けた道具袋から閃光玉、右足のホルスターから手裏剣を三枚取り出して投擲する。下忍ですらない子供が投げたとは思えないスピードだ。
九喇嘛は様子見をしているのか何も反応を示さず、優雅に扇を仰ぎながら余裕の表情を浮かべていた。
(何もしないなら、遠慮なくいくぜ!)
言外に構えるまでもないと言われているようで少々ムッとしたが、気を取り直して素早く印を組み、術を発動させた。
「手裏剣多重影分身の術!」
ミナトから教わり独自に改良した新術だ。三枚の手裏剣が独自に分裂をはじめ、瞬く間に弾幕を形成していく。
そして、手裏剣の一枚が閃光玉に刺さり、辺りを光の波が包み込んだ。
それと同時に再び印を組み、新たな忍術を発動させる。
(土遁 土中潜航!)
「むっ……」
閃光に目がくらんだ隙をつき、空間を埋め尽くした手裏剣が迫る。
しかし、それらを九喇嘛は手にした扇子を開き、一閃するだけですべて吹き飛ばした。
まるで風遁
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