SIDE:A
第四話
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点をおいて励んでいる。そのお陰でこの歳で上忍相当の実力を身につけていると父さんからお墨付きを頂いたのだ。しかし何気に死亡フラグが満載なこの世界で生き抜くにはまだ足りないと感じてしまう俺もいる。まあ焦らずにやっていこう。
「何をしておるのじゃ?」
自室に篭り、ノートにガリガリと筆圧高めで字を刻んでいると、背後からひょこっとクーちゃんが顔を出した。
クーちゃんの姿は絵柄がついたティーシャツにズボン。始めて出会ったときに来ていた色打掛はここぞという時に着るものらしく、普段着は大抵Tシャツ姿だ。
クーちゃんは手元のノートを覗き込んでくるが。
「……なんじゃこりゃ? 何かの暗号かの?」
狙い通り文字の意味が分からず首を傾げた。
現在、俺は風化してきた原作知識を総動員して、今後起こるかもしれない事件や出来事を忘れないようノートに纏めている。他者に見られても大丈夫なようにローマ字で。
全部ローマ字だから俺自身解読に少し時間が掛るけど、これなら誰にもバレずに済む。ちょっとね、と言葉を濁してノートを仕舞った俺は遊び相手になってくれていた妹がいないことに気が付いた。
「汐音は?」
「あ奴なら疲れて寝てしまったぞ」
「あー。まあ、あれだけはしゃげばなぁ。遊び相手になってくれてありがとうな」
「……妾も暇だっただけだ。気にするでない」
頬を種に染めながらそっぽを向くクーちゃん。頭にちょこんっと乗った耳がぴこぴこと反応し、綺麗な毛並みの尻尾も小さく揺れていた。
クーちゃんは封印されていたとはいえ数百年生きてきた妖狐なのに、感情を隠すのが下手だ。顔や仕草にも出るし、なにより狐耳や尻尾が如実に心を露にしている。本人は気が付いていない様子だが、これはこれで可愛らしいので指摘しない。このままピュアなクーちゃんでいて欲しいものだ。
「主よ。この後の予定は?」
「んー。父さんは仕事でいないし、母さんも出かけてるからなぁ。久しぶりにクーちゃんと模擬戦でもするか」
「ほう、それはよいな。妾も最近は運動不足であったし、ここは一つ暴れるとしようかの」
ギラギラした目で獰猛に笑うクーちゃん。尻尾もザワザワと揺らめいている。
(狐って肉食だっけ……?)
やる気満々な使い魔の姿に苦笑しながら、これだけは言って聞かせた。
「頼むから本気出さないでね。クーちゃんが本気出したら地形変わるから」
地形どころか里が無くなっちゃうかもしれないし。
「安心せい。それくらいの分別は弁えている。軽く流すだけよ」
(クーちゃんの軽くは父さんに匹敵するんだよなぁ)
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