六十二話:“エミヤ”-Time alter-
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すか!!」
「無論だ、この命の使い道は既に決めてある」
圧倒的な優位は無くなった。絶対的な存在から転落した今、スカリエッティは死ぬ存在となった。時を戻せば相手が進め、時を進めれば相手が巻き戻す。まさに人間に戻ったというのにスカリエッティは冷静さを取り戻し笑っていた。
「あの時の発言は取り消させてもらおう。君は私がこの世で唯一尊敬するに値する人物だッ!!」
生まれて初めて見せるのではないかと思われるほどの真剣な表情でスカリエッティは語る。失望したなどとあの時は言ったがそれは大きな間違いであった。ここまで、強く美しい命の輝きは他の人間では見られない。蝋燭が燃え尽きる瞬間に一瞬だけ強く燃え上がるようなものかもしれない。だが、それでもよかった。目の前にいる男は生涯最高の敵に相応しい。
「嬉しくない尊敬だな」
「私は真剣さ、この上なくね。ああ、そうだ。私は君を倒さなくてはならない! 殺さなくてはならない! その他の有象無象などもはやどうでもいい。君を、いや君達をこの手で殺して私は真に神となるッ!!」
「やれるものならやってみろ」
絶対零度の視線がお互いの魂を貫く。凍えるような冷たさを感じるのは切嗣の固有結界の影響だけではないだろう。殺気とも違う圧倒的な威圧感。それが世界を支配している。吐き気を催してしまうほどの空気の中誰一人として動くことができない。
この空気を壊すことができるのは切嗣とスカリエッティの二人だけ。雪原に降る雪が砂漠に吸い込まれ消えていく。戦いにどちらが勝つのかはわからない。しかし、はっきりと分かることはどちらか片方の世界がもう片方に呑まれ消えていくということだ。
「フッ」
先に動き出したのは切嗣であった。はやて達にはもはや視認できない速度でキャリコを連射していた。その力はもはや人間の領域にはなく化け物の領域だった。だが、相手もまた同じような化け物であった。
「無駄! 無駄! 無駄!」
こちらも見えない速度で黒鍵を作り出し銃弾をハエでも叩くように落としていくスカリエッティ。しかもただ守りに入っているわけではない。超高速で前進しながら銃弾を捌いているのだ。
「コンテンダー!」
そこへ今度は防御不能な起源弾を叩き込む。魔力で練られた黒鍵であれば容赦なくその特性を発揮する。仮に魔力で防がなければ銃弾の威力のみで屠ることができる。しかし、相手もそう甘くはない。
「私が自分の作った武器に対して何の対策も練っていないと思うのかね!?」
起源弾の効果などそれこそ切嗣以上に熟知している。向かってくる弾丸へ黒鍵を投げて風圧をぶつける。勿論、それに弾丸を打ち落とす程の威力はない。だが、軌道をずらすには十分すぎる威力だ。
「私の作った武器で私に勝てると思わないことだ
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