幽州編
第23話 五胡と赤兎
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だ。
赤兎はこの矢の雨の中、バサラを背に乗せながら五胡の軍へと突っ込んでいる。
そして迫りくる矢を避けている。
五胡の軍勢は赤兎を近づけないように矢の数を増やすが、赤兎相手には意味が無い。
「くそお・・・!てめえら!相手は1人だ!囲んで仕留めろ!」
大将の命令で五胡の軍勢はバサラを囲むように動き、四方八方から矢の雨を降らせる。
それを見た赤兎はさらに速度を早める。
「なっ、まだ、速くなるのかよ?!」
そしてそのまま大将らしき男の方に近づいてくる。
五胡の軍勢は近づいてくる赤兎に対し持っていた刃渡りが50cm程度の短刀を構え、バサラに斬りかかる。
それを赤兎が移動して躱し、バサラ自身も自らの身体を逸らすなどして躱していく。
そして、大将の男に近づいていく。
「へっ、おれ自らぶった斬ってやるぜ!」
大将の男もバサラに突っこんでいき、斬りかかる。
だが、
「なっ?!」
そこで赤兎は前へ跳躍した。
その高さは大将の男の上を飛んでいることからも異常なことだと分かる。
まさか男の方もこのようなやり方で自身の刃を躱すとは思わなかった。
いや、思うはずがなかった。
それは男だけではなく、五胡の軍勢2000の兵全てが該当する。
彼らは馬と共に草原の世界で生きる遊牧民である。
幼き頃から馬に乗り、戦いにおいては共に戦う。
その為に馬という生き物のことは誰よりも知っている、そう自負していた。
だからこそ、だからこそこの赤兎という馬の異常性が分かる。
あそこまでの速さの馬など見たことが無い。
だが、それだけならただ速く奔ることの出来ることができる程度にしか思わなかっただろう。
あの高さの跳躍を見るまでは。
彼らが知る馬は走ることに長けてはいるが、跳躍にはあまり向かない。
その為に馬とは走る生き物、という認識が強い。
だからこそ、彼らは赤兎に対しあり得ない物を見るような目で見ている。
そして、それを乗りこなし、あまつさえ自分たちに歌うことまでしていたバサラを見て、
(こいつは、本当に人、なのか?)
そう思うのだった。
バサラと赤兎は跳躍した後はまた走り出し、五胡の軍勢の囲みを抜け出して軍勢から少し離れた後軍勢に向き直る。
そしてまた五胡の軍勢に向かって走り出し、
「いくぜ!PLANET DANCE!!」
また歌いだす。
それを見た五胡の軍勢はバサラに対し、
(なぜ、こいつは歌うのだ?これほどまでの馬術を持つのに、なぜ?)
そう思いながらバサラのことを呆然としながら見ているのであった。
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