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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十七話 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
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と二人で話すことを警戒している。貴族嫌いの宇宙艦隊司令長官が伯爵家の娘と二人で密談した……。そんな噂が流れたらどうなるか、碌な事にはならない、そう考えているのだろう。
「それで、私に御用とは?」
「今度の内戦に際してマリーンドルフ家は司令長官に御味方させていただきます」
「内戦と言いますと?」
「いずれ起きる、ブラウンシュバイク公との内戦です」
メックリンガー提督とフィッツシモンズ中佐の表情が険しくなり視線が鋭くなった。司令長官は穏やかな表情で私の話を聞いている。
「フロイライン、内戦が起きるかどうかは未だ分かりません。それに私が勝つとも限りませんが?」
「いえ、閣下はお勝ちになります。ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯は一時的に手を結ぶ事は有っても最後まで協力することは出来るでしょうか? 二人はともかく周囲がそれを良しとはしないはずです」
「……」
「それに軍の指揮系統が一本化していません。全体の兵力で閣下に勝る事があっても烏合の衆です。閣下の軍隊の敵ではありません。また貴族の士官だけでは戦争は出来ません。実際に戦争するのは兵士たちです。平民や下級貴族の兵士たちはブラウンシュバイク公ではなく閣下をこそ支持するでしょう」
それにブラウンシュバイク公の兵力は強大でそこにマリーンドルフ家が参加しても軽く扱われるだけだろう。しかし、司令長官に付けば政治的効果は小さくない。必ずマリーンドルフ家は厚遇されるだろう。
メックリンガー提督とフィッツシモンズ中佐の表情は警戒から感嘆に変わっていた。少なくとも二人には私の力量を印象付ける事が出来た。しかし、司令長官の表情は変わらない。私の意見など彼にとっては取るに足らないものなのだろうか?
「見事な見識ですね、フロイライン。そういうことであれば、私も味方は欲しいと思います。マリーンドルフ伯爵家のご厚意に対して私が出来る事はありますか?」
ここからが本当の勝負だ。間違えてはいけない。
「マリーンドルフ家に対し、その忠誠に対する報酬として家門と領地を安堵する公文書を頂きたいと思います」
「帝国政府の公文書となるとリヒテンラーデ侯にお願いする必要がありますね。近日中にお渡ししましょう。それでいいですか」
警戒されるかと思ったが、あっさりと司令長官は請け負ってくれた。
どういうことだろう、信じていいのだろうか? 司令長官は貴族たちを一掃する気だろう。口約束では反故にされてしまう。公文書になっていれば、反故には出来ない、司令長官の名誉に傷が付くだけではなく、その権力体制にも人々は不信を抱くだろう。分かっているのだろうか?
「有難うございます。マリーンドルフ家は閣下に対して絶対の忠誠を誓い、何事につけ閣下のお役に立ちます。先ずは、知人縁者を閣下の御味方に参
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