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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十七話 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
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た。そして帝国軍三長官が協力することも稀だった。しかし、今現在の彼らは極めて堅密な協力体制を築いている。それがどれだけ有効かをシャンタウ星域の会戦で知ったのだ。
かれらは国内が不安定状態に有る事が如何に危険か今回の反乱軍侵攻で理解したはずだ。反乱軍がシャンタウ星域で大敗北した今が国内に内乱状態にしても貴族との対決を可能とする唯一の時なのだ。必ずブラウンシュバイク公を、リッテンハイム侯を挑発し、暴発させようとするだろう。
だから、先日ヴェストパーレ男爵夫人から連絡が有っても私は驚かなかった。夫人の話では帝国政府は貴族との全面対決を決意したという。おそらくローエングラム伯を経由しての情報だろう。具体的な内容は判らないが貴族には受け入れがたい政策を取るようだ。
その日は遠い事ではないだろう。そして、それはヴァレンシュタイン元帥主導で行なわれるはずだ……。
父は当初、中立を望んでいた。争いを好まない父らしい答えだった。そして父は元帥の両親が殺されたのは自分にも責任が有ると考えている。その事が父の行動を消極的なものにしていた。元帥はマリーンドルフ家を恨んでいるのではないかと……。
今度の内乱は中立など許されないだろう。そんな甘いことを元帥が許すはずが無い。むしろ、マリーンドルフ家は積極的に元帥に味方し家を保つべきだった。私は父を説得し、今宇宙艦隊司令部の前に居る。
宇宙艦隊司令部の前で何度目かの深呼吸をしていると、口髭を綺麗に整えた身だしなみの良い軍人に声をかけられた。
「フロイライン、どうかされましたか? なにやらお悩みのようだが」
年の頃は三十代前半だろうか、穏やかな口ぶりが誠実そうな人柄を表しているように思える。どうやら私は挙動不審と思われたらしい。司令部の前で若い娘がやたらと深呼吸していれば無理も無いかもしれない。
「ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフといいます。マリーンドルフ伯爵家の者です。大切な用件が有り、元帥閣下とお会いしたいのです」
彼がこちらを警戒するように見ている。確かに貴族の娘がいきなりヴァレンシュタイン元帥に会いたいなどと言えば、警戒しないほうがおかしいだろう。
「フロイライン、面会のご予約はお有りですかな?」
「いえ、有りません。ですが大勢の人の生命と希望がかかっております、どうしても元帥閣下とお会いしなければならないのです」
私がそう言うと、彼は少し考えてから携帯用のTV電話を取り出し、連絡を取り始めた。驚いたことに彼はヴァレンシュタイン元帥本人と直接連絡を取っていた。
改めて彼の軍服を見ると襟蔓が1本 、肩線が3本入っている。帝国軍大将だ。元帥との会話の中で、メックリンガーと名乗っていた。エルネスト・メックリンガー提督、彼はヴァレンシュタイン元帥が抜擢した司令官
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