124部分:第百二十三話
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第百二十三話
第百二十三話 魔王
騎士は魔女の横にいた。そして上を見上げている。
「頼むわね」
騎士はその言葉に黙って頷く。すぐにその手に持つ巨大な槍を掲げた。
「何をするつもりか知らないけどね」
それを見ても華奈子の強気は変わらない。
「あたしのこの火は消せないわよ!」
「消してあげるわ!」
魔女の声も普段のクールさは何処にもなかった。
「絶対貴女に勝ってやるんだから!」
「言うわね!」
「何度でも言うわ!」
二人は魔法をぶつけ合う前からもう戦いに入っていた。
「貴女にだけは負けない!」
「あたしだって!」
「・・・・・・・・・」
四人はそんな二人の様子を見て妙なものを感じていた。
「おかしいわよね」
「ええ」
互いに囁き合う。
「何か紫の魔女って」
「華奈子ちゃんには特に凄いライバル感情剥き出しだけれど」
「何かあるのかしら」
「妙なものは感じるけれどね」
しかしそれが何かまではわからない。今将に二人の魔法が激突するところであった。
「これで!」
「終わりよ!」
炎と槍がぶつかり合う。赤と黒がその場を支配した。
「ウッ!」
「危ない!」
衝撃と爆風が飛び散る。四人と使い魔達はそれから何とか身を守る。それぞれの魔法で必死にバリアーを作る。
ほんの僅かだがそれが間に合った。しかしそれは二人の魔法の激突の衝撃を相殺するだけであった。バリアーが消し飛んでしまった時全ては終わってしまっていた。
「決着は」
「どっちに!?」
目の前にその目を凝らす。だがそこには二人はいなかった。
「華奈子ちゃん!」
「何処!?」
四人とそれぞれの使い魔達は彼女を探す。だがその姿は何処にも見えない。
「まさか・・・・・・」
「いえ、そんな筈ないわよ」
「けど」
「だからそんなこと言わないでよ」
梨花と美樹が弱気な顔になる赤音と春奈に対して言う。しかしその二人にしろ実際は不安であった。だが。
「みんなぁ・・・・・・」
少し離れた場所からその探していた声が聞こえてきた。
「無事だったの!?」
「よかった」
「あまり無事とは言えないけれどね」
だがそこには華奈子がいた。ボロボロになった赤い法衣のままそこにいた。彼女は何とか魔法の激突から助かっていたのであった。
第百二十三話 完
2006・6・17
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