第十八話 新幹線の中でその十二
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「確かに」
「そうですよね」
「君の姉さんもね」
「姉さんもだったんですか」
「そう、学生時代カーマニアでね」
「そういえば姉さんも車好きですよね」
「それでスポーツカーはね」
岡島は前を見つつ話した。
「そっちはね」
「姉さんフェラーリ派だったんですね」
「あとランボルが好きだったんだ」
こちらの車もというのだ。
「そちらもね」
「そうだったんですね」
「うん、しかもスポーツも好きでね」
「今も毎日病院のジムで汗流してますよ」
「そうだね、だから健康なんだね」
「お酒はかなり飲みますけれど」
優花はここで優子のそのことを話した。
「確かに健康ですね」
「うん、やっぱり身体を動かすことはね」
「健康になることですね」
「汗を流して老廃物を出すし新陳代謝もよくするから」
だからだとだ、岡島は話した。
「血行もよくするしね」
「だからいいんですね」
「君の姉さんもそれでね」
「健康なんですね」
「そうだよ、ただ彼女のお酒はね」
優子のその酒の飲む量についてはだ、岡島は少し苦笑いになって彼女の弟である優花にこう話したのだった。
「凄いね」
「大酒飲みですよね」
「そう言っていいね」
「一時期ウイスキーボトル二本空けてました」
「一日でだね」
「はい、それも毎日」
「それだけ飲んでたらね」
それこそとだ、岡島は言った。
「すぐに身体壊すよ」
「普通の人ならですね」
「君の姉さんは相当お酒に強いからね」
「次の日も普通で身体を壊さなかったですね」
「学生時代から強かったからね、ただ」
「それでもですよね」
「そう、飲み過ぎたらね」
どうしてもというのだ、酒を飲み過ぎると。
「身体を壊すよ」
「そうですね、僕のことで悩んで」
「それでだったんだね」
「飲んでました、その時は」
「君の身体のことだね」
「現実を受け入れられなかったそうです」
自分の弟が男から女になっていく、そのことがというのだ。
「とても」
「僕には弟や妹はいないけれど」
それでもとだ、岡島は正面を真剣な顔で見て運転しつつ優花に話した。
「若し自分の弟や妹が君の様なことになったらね」
「信じられないですよね」
「とてもね」
実際にとだ、岡島は優花に答えた。
「そう思うよ、それにね」
「それに?」
「君の姉さんみたいに受け入れられるか」
「それは、ですか」
「自信がないね」
こう優花にも言うのだった。
「それはね」
「そうなんですか」
「確かに君の姉さんは信じられなくてその現実を前にしてお酒に逃げようとしたよ」
だからその時の優子は連日深酒だったのだ、普通の人間ならそれこそすぐにでも身体を壊しかねないまでに。
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