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Blue Rose
第十八話 新幹線の中でその七

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「長崎は」
「そうだよ、だからね」
「楽しんで来ればいいんですね」
「あそこにいる間はね」
「わかりました、それじゃあ」
「行って来るといいよ、さて」
 ここでだ、男は。
 新幹線の窓の外の景色を見てだ、優花にこうしたことを言った。
「もうすぐ九州だね」
「トンネルを越えたらですね」
「九州だよ」
 その長崎県のあるだ。
「あそこに入るよ」
「九州ですか」
「いい場所だよ、九州は」
 男は目を微笑まさせて優花に九州自体のことも話した。
「あそこに行くともう気持ちが楽しくなるよ」
「そうなんですね」
「わしはね、じゃあ行こうか」
「はい、それで長崎に」
「行くといいさ、ただ」
「ただ?」
「わしは鹿児島で君は長崎」
 同じ九州でもというのだ。
「行く場所は違うね」
「そうですね、同じ九州でも」
「わしは九州の一番南だよ」
 鹿児島県だからだ、鹿児島県は九州の最南端にある。島津家はその九州の最南端から攻め上がるのが常だった。
「そこに行くからね」
「僕は西の端ですね」
「長崎だからね」
「お互い行く場所が違いますね」
「端っこでもね、お互い九州の」
「そうなりますね、じゃあ長崎に行っても」
 九州に入ろうとしている中でだ、優花はそのまだ先の長崎に目と心を向けつつ言った。
「楽しく過ごしてきます」
「そうしてくるんだ」
「絶対にですね」
「療養でもね、それで何があっても」
「生きることですね」
「本当に生きていればね」  
 何といってもとだ、男はまた優花に言った。
「何とかなるんだ」
「どんな状況でもですね」
「確かに生きていれば色々あるよ」
 人生の深みからだ、男は優花に話した。
「それで辛いこともある」
「それでもですね」
「生きるんだよ」
「絶対にですね」
「そう、何があってもね」
「そうしないと駄目ですね」
「最低限ね」
 例え何があろうともとだ、男は言葉の中に入れて優花に言った。
「そうするんだ」
「それじゃあ」
「そう、僕も生きているから」
「僕もですね」
「生きるんだ」
「わかりました」
 優花は男に確かな声で答えた。
「そうします」
「そういうことでね、じゃあ今から」
 男は窓の景色に目をやって話した。
「九州だよ」
「はい、今からですね」
「そう、行こうね」
「わかりました」
 優花も頷いた、そして。
 トンネルを抜けた、それから男はまた言った。
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