第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#19
戦慄の暗殺者X 〜Heat Capacity〜
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弧を描いて純白の長衣が前方に撃ち出されると、
中に編み込まれた “操作系自在法” が発動して奇怪な紋様が
シルクの表面に浮かび上がり、そして発光した。
ソレと同時に周囲13体の燐子、そのクローム樹脂の表面にも
奇怪な紋様が斑のように浮かび上がり、遠隔操作を受けた人形達は
手にした武器を投げ出して次々とシャナに抱きついていく。
群がるその重量に、シャナは無理矢理引き吊り倒された。
「あうぅッッ!!」
コンクリートの地面に強く頭を打ちつけられ、
ボヤける視界のまま封絶の空を仰ぐ形となったシャナの眼前に、
無数の燐子の顔があった。
その貌は、敬愛するべき主に身を捧げることを至上の悦びとする
狂気の笑みで覆われていた。
「……ッッ!!」
全身に走る、穢れた、しかし圧倒的な数の力で
存在を蹂躙される、原始的な恐怖。
その先で、敗者見下ろす冷たい視線で、シャナを睨め付ける紅世の王。
「どうもありがとう。 “爆発させやすくしてくれて”」
「!!」
邪悪そのものの声だった。
しかし、信じ難いほど甘い響きがそこにあった。
その狂気にギラついた視線を受けながら、
シャナは自分が完全に “狩人” の 掌 で踊らされていた事に気づいた。
必要以上にアラストールを侮蔑したのも、自分を挑発し続けたのも、
全ては怒りで 「我」 を喪失わさせ、そして力尽きさせる為の 「布石」 だったのだ。
更に、今自分の内から湧き上がるこの新たな能力さえも、
この 「結果」 の為の 「伏線」
自分を捕らえる 「罠」 を、自分で周囲にバラ撒いていたのだ。
意気揚々と、得意気に、微塵の疑いすら抱くことなく。
憎むべき相手の謀略を、自ら掻き抱いていた。
その残酷な 「事実」 が、優秀な戦士である少女の 「誇り」 を
一片の容赦も無くズタズタに引き千切る。
そこに間髪いれず、“狩人” の言葉が舞い降りた。
「さあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!! いまこそ魅せてあげようッ!
アノ御方の忠実なる 「暗殺者」 !!
この “狩人” フリアグネ最大最強焔儀をッッ!!」
そう言って長衣が艶めかしく絡み合った両腕を逆十字型に交差し、
指先に不可思議な自在式印を結んで王は “流 式” の構えを執る。
そのフリアグネの右手には、いつの間にか神秘的な輝きを放つ
麗美なハンドベルが握られていた。
ソレは、己の使役する燐子を 「爆弾」 に変えて 「自爆」 させる事の出来る
「能力」 を持つ背徳の魔鐘。
“紅世の宝具” 『ダンスパーティー』
その能力と己が自在法とを結合して編み出された、
「宝具」と “自在法” の高等融合焔術儀
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